認知症の人や家族・地域が安心して暮らせる社会実現を目指す 「アプリ導入と保険制度新設」

 宇都宮市では認知症の人やその家族、地域が安心して暮らせる社会の実現を目指して、1日から新たな取り組みを始めました。

 7月30日、宇都宮市のオリオンスクエアで開かれたイベント「認知症フレンドリーフェスタ」では、行方不明になった認知症の高齢者を家族以外の協力者がアプリを使って捜索するという模擬訓練が行われました。

 アプリの名前は「オレンジセーフティネット」です。このアプリは認知症の人が行方不明になった場合に家族などが協力を依頼し地域住民が捜索活動に容易に参加できるのが特徴です。

 この日は、家族役1人と協力者役4人が5台のスマートフォンを使い、個人情報は伏せられたまま行方不明者の顔写真を頼りに捜索を行いました。協力を呼びかける人の範囲は、行方不明になった場所を起点に半径1キロから5キロまで設定が可能です。

 行方不明者らしき人を発見した場合は、掲示板を通じて目撃情報や顔写真の投稿ができ本人に直接確認ができる場合は、安否情報などを知らせます。参加した人たちは行方不明になった人を発見し家族のもとへ無事引き渡わたすことができました。

 また、宇都宮市では認知症の人だと周囲が気付きやすくするためロゴの入った「見守りグッズ」の配布も行っています。

 また、怖いのは認知症の人の外出先での事故です。宇都宮市では認知症の人が、万が一、外出先でぶつかるなどして人にケガをさせたりモノを壊したり踏切に立ち入って電車を止めるなどの事故から家族や本人らを救済するため補償が行える保険制度を県内で初めて創設しました。

 死亡やけが、物損などの被害者に最大3千万円の見舞金を支払うほか、賠償責任を負った場合は最大2億円を補償します。一定の要件を満たす要介護認定者は手続きが不要のうえ無料で加入できるということで、このような取り組みは全国で初めてだといいます。

 宇都宮市では9月の「宇都宮市のみんなで考える認知症月間」を前に今月から市内全域にチラシを配布するなどしてアプリや制度などをPRしていく方針です。

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