ドライバー研修 全盲でも安心してタクシーを 求められるサポートとは?

先週、盲導犬を連れている人でも安心してタクシーを利用できるように、ドライバー向けの研修会が行われました。全盲の人たちがタクシー使う時にどんな点に困っているのか、求められるサポートの形が見えて来ました。

記者:「盲導犬を使用している人がタクシーに乗る際に、ドライバーはどういった行動を取るべきか、訓練が行われています」

この日、江東区にある施設で開催された研修会。盲導犬の利用者が安全・安心にタクシーを使えるようにと全盲の講師を招いてドライバー向けの研修が行われました。

まずは乗車時のポイントから。

講師:「これだとちょっと遠いので、(車まで)一歩で届く距離だと完璧ですね」

利用者が盲導犬の誘導で乗車するのは車との距離感などの問題で難しく、講師はドライバーが利用者に入り口や椅子の場所を触らせるなどサポートするように指導しています。

一方、降りる時は…。万能だと思われがちな盲導犬は、あくまで利用者の指示にしたがい誘導を行っていて、向かう方向を自身で判断しているわけではないのです。そのため、講師は降車時にドライバーが正確に向かう方向を伝えることが大事だと話します。

研修を終えて参加者は…

参加者:「初めての時はたぶんすごく戸惑ったり失敗したりすると思うんですけど、徐々に慣れていくと思います」「ただ乗せるただ降ろすだけではなく、その人の気持ちになって考えてあげないといけないということがよく分かりました」

それぞれができることとできないことを知ること…その思いやりが誰でも安心して暮らせるユニバーサルな社会にはかかせないようです。

今回、このような研修が行われた背景には、去年、盲導犬協会に寄せられたタクシーの乗車拒否が24件あり、都内でも4件発生しているという現状があります。こうした乗車拒否のような不当な差別は法律で禁止されています。さらに、企業が障害のある人に必要な配慮をすることは、来年6月までに義務化されます。

研修の講師を務めた盲導犬協会の押野さんによりますと、猛暑の時期は人間以上に犬がアスファルトの熱でダメージをうけてしまうので、タクシーを利用できないとどこにもいけなくなってしまうので乗車拒否は絶対にやめてほしいということです。また、今回の取材通して盲導犬は万能ではなく、目的地まで勝手に連れて行ってくれるものではないと知りました。押野さんも周りの人から声をかけてもらって助かることがたくさんあり、安心して外に出かけようという意欲にも繋がるので、どんどん声をかけてほしいと話しています。

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