デタラメすぎる三反園衆院議員の政治資金管理 違法寄付金で訂正重ねて裏金疑惑が露呈 専門家「悪質すぎるので刑事告発したい」

デタラメな政治資金管理が指摘された鹿児島県選出の三反園訓衆議院議員。HPより。

鹿児島県選出の三反園訓衆議院議員が代表を務める「みたぞのさとし後援会三訓会」(以下、三訓会)が、3月末に総務省から、上限額を超えた個人からの寄付を受けていたと指摘された。その三反園訓議員に新たに裏金疑惑が持ち上がっている。政治資金収支報告書(以下、収支報告書)などの調査によって疑惑は膨らむばかりだ。専門家は「あまりに悪質だ」と指摘。刑事告発に踏み切る予定だ。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)

◆総務省に指摘された自分の後援会への違法寄付

南日本新聞が3月24日に報じたところによると、三反園議員の後援会である三訓会は、2021年の政治資金収支報告書(以下、収支報告書)において、「法定の上限額である1000万円を超えて三反園議員個人からの寄附を受けている」と総務省から指摘され、1100万円分を三反園議員からの「借り入れ」だったと収支報告書を訂正した。

筆者は収支報告書を確認してみた。すると、2021年10月15日に850万円を三反園議員が寄付したと記載していたのを350万円の寄附に訂正したのを皮切りに、11月8日、12日、22日に各200万円ずつ寄付していたところを、全て二重線が引かれ訂正していた。たが、訂正した日付等は書かれていない。

また、三反園議員からの寄付を借り入れに訂正したページには、金額が1100万円と記載されているが、日付がない。総務省が発行している収支報告書に関する手引書には、借入の日付も記載するように書かれている。

そこで、三訓会に対して、三反園議員から借り入れした日付を質問してみたところ、「10月15日、11月8日、12日、22日」と回答があった。回答は金額には触れていないが、訂正前の寄附時の日付と同じということから推測して、寄付との報告をそのまま借り入れに訂正したということなのだろう。

◆収入足りないのに支払いできる不自然

ここで大きな問題があることに気づいた。

三訓会は9月27日に三反園議員が400万円の寄附をするまで高額の収入がないのだ。三訓会が前年度から繰り越した額はわずか4万8498円だ。にもかかわらず、1月15日と2月26日に印刷費として66,000円ずつの支払いをしている。日付の不明な「その他の寄附」は、1万5000円しかない。

つまり、三訓会は収支報告書に記載されていない何らかの収入がない限り支払ができない状況に陥っていた。三反園議員は11月に、もう一つの後援会に100万円を寄附しているが、こちらも同じく支払いができない状況になっている。ならば、三訓会はどうやって支払いができたのだろうか? お金が足りなければ、会計責任者は否応なく気付くはずだ。

三反園議員は自分の後援会の「三訓会」に寄付を重ねたが、総務省に法定上限を超えていると指摘され訂正した。問題の政治収支資金報告書。

◆裏金疑惑

この疑問を紐解くために過去の収支報告書を調べてみた。そうすると、不自然な修正を見つけた。20年の収支報告書も、三反園議員から三訓会に200万円の寄附があったのだが、22年4月13日に訂正されて、寄付はなかったことにされていた。

訂正には理由があった。鹿児島県医師連盟から200万円の寄附を受け取っていたと、同日に訂正されていたのだ。簡潔に言うと、200万円の寄付は、三反園議員からではなく鹿児島県医師会からの寄附だったと訂正したのだ。

これは不可思議である。三反園議員自身の後援会が、三反園議員本人からの寄附と鹿児島県医師会からの寄附を間違えることなどあるだろうか? 鹿児島県医師会の収支報告書を見ると、三訓会に寄付しているとちゃんと記載されている。三訓会の方に記載がないという指摘がどこからかあったので、鹿児島県医師会から寄付を隠そうとして三反園議員からの寄附として処理していたものを、慌てて鹿児島県医師会からの寄附に訂正したのではないかとの疑いが生じる。

そうであれば、21年初頭、収支報告書上でお金が足りなかったにもかかわらず支払いができたことに合点がいく。

◆「悪質なので刑事告発する」と専門家

以上の問題について、政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は次のように指摘した。

「三訓会の代表は三反園議員本人なので、同人からのカネが寄附金なのか借入金なのか、会計責任者が間違うはずがありません。1000万円を超える違法寄附だと総務省から指摘を受けたので虚偽の書き換えをしたと思われます」

つまり、総務省の指摘を受けての訂正が、また虚偽の可能性があるという指摘だ。21年の収支報告書については次のように批判する。

「私の試算では、収入と支出の日付が不明な記載を、三訓会にとって一番有利に計算しても、少なくとも約12万円の赤字が生じます。それは裏金から支払われたとしか考えられません。前年の鹿児島県医師会からの200万円を裏金として支出し、その一部が翌年まで残っていたので、それで支払いをしたのではないか。その後、立法事務費65万円の収入があるので、収支報告書上は翌年に52万円余りを繰り越しているので黒字です。それで赤字になっていたことに気づかなかったのでしょう。あまりにも悪質だと思います」

上脇教授は三反園議員と会計責任者を刑事告発する予定だ。

200万円もの寄付金の出処を間違うことがあるのだろうか。それも寄付したとしていたのは三訓会代表を務める三反園議員本人と鹿児島県医師会である。まもしお金が足りなくなって支払いができなければ、その時点で普通は気づくはずだ。常識的に考えればあり得ないことが、三訓会では複数、同時に起きているのだ。そのひとつひとつは杜撰だが、芋づる式に次々と問題点が浮かび上がると、他にも誤魔化があるのではないかと推理したくなる。

三反園議員だけでなく、相次ぐ政治資金パーティのパーティ券不記載問題をはじめ、こうした政治家たちの杜撰な政治資金管理が政治不信を招いているが、国会では一向に改善しようという動きは出て来ないし、そんな空気すらない状況だ。有権者としてどう向き合えばいいのだろうか。

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