木村徹二が2枚目のシングル『二代目』特別盤とカバーアルバムを同時発売 「僕が演歌でデビューした今が一番、父・鳥羽一郎とは仲がいいかもしれません」

昨年11月にファーストシングル『二代目』でデビューを果たした木村徹二が、2枚目のシングル『二代目』特別版(c/w『夢の花道』)アルバム『ザ・カバー~昭和演歌名曲選~』を同時リリースした。『二代目』特別版はボーナストラックに父・鳥羽一郎の名曲『海の祈り』を収録した3曲入りで、父親譲りの〝アイアンボイス〟がガツンと響く。「『二代目』を自分の代表曲と呼べるように頑張っていきたい」と意気込む木村に、これからの歌手人生のこと、父として歌手としての鳥羽一郎のことからプライベートライフまでを聞いた。


――デビューから約8カ月たちました。『二代目』の手ごたえをどう感じていますか。

地方にキャンペーンに行くと応援してくださる方、曲に合わせて団扇を振ってくださる方の数が確実に増えてきたと思います。周囲の方も調子いいねと言ってくださるのですが、ここで満足してはいけないと気を引き締めています。ただ、比べるのも野暮なことですが、父親や叔父の山川(豊)さんのステージを身近で見て来ましたので、どうしてもあそこまでいかなくてはと思ってしまいます。

――ソロ歌手になって、兄・木村竜蔵さんとされているデュオ・竜徹日記の頃とはだいぶ勝手が違うのではありませんか。

だいぶ違いますね。もともと自分は人前に立って何かやるタイプの人間ではなかったんです。それが、兄から声をかけてもらって、竜徹日記としてふたりでステージに立つようになり、少しずつ慣れてきたところで一人になりましたから、最初は正直やっていけるのか不安でした。ただ、そこまでナーバスになっても仕方がないので、今はとにかく楽しもうと思ってやっています。

――そんな中、2枚目のシングルとして『二代目』特別盤がリリースされましたが、ファーストシングルを特別盤として再びリリースしたのはなぜですか。

キャンペーンなどで全国を回っていると、皆さんからリアルな声をいただくのですが、『二代目』に関しては、どれもポジティブな意見が多くて、思った以上に評価をいただいたと思っています。僕自身、この流れを切って、このまま次の新曲にいくのはもったいないと思いますし、木村徹二といえば『二代目』だよねって言われるような僕の代表曲にしたいという気持ちもあって、もう少し頑張ってこの曲を歌っていこうということになりました

――『二代目』は、コロナで疲れた人の背中を押してくれるような元気の出る歌です。木村さんとしては、聴いてくださる方にどんな思いを届けたいと思いながら歌っていますか。

歌詞だけを見ると限定された世界を描いた歌ですが、師匠を超えてやるという力強い歌ですし、ちょうどコロナが少しずつ収束に向かう頃に作られて世に出た歌ということもあって、「もうちょっとの辛抱、皆、元気を出していこう」という前向きな気持ちは込めています。ちょうどタイミングが良かったと言っていいのかどうかわかりませんが、デビューがもしコロナ禍の始まりの頃だったら、兄もこんな前向きな曲は作れなかったと思いますし、僕も歌えなかった。さあ、もう少しという希望を持つことのできる時期にリリースできたのは、僕にとっても曲にとっても幸運だったと思います。

――特別盤のカップリング曲『夢の花道』も夢に向かってひたむきに生きている男の姿を描いていて、『二代目』とは別の意味で木村さんの今を歌っているように思います。

ファーストのカップリング曲『つむじ風』とも共通するコンセプトの曲です。『二代目』は本来の自分より多少、背伸びしていて〝頑張ってる感〟がありますが、『つむじ風』や今回の『夢の花道』は等身大の自分を表現できていると思いますし、歌っていても身の丈にあっていると感じますね。

――今回はボーナストラックとして鳥羽一郎の『海の祈り』が収録されています。なぜこの曲を選んだのですか。

いろんな現場で、お客様から父の曲をリクエストしていただくことが多いのですが、一番多いのが『海の祈り』なんです。でも、それだけではなくて、実は歌い手さんの中にもこの歌が好きだと言ってくださる方がたくさんいらっしゃって、僕の中でずっと、プロの方々が評価してくださる歌なんだという思いがあり、提案しました。

――プロの歌手の方の評価も高いというこの曲の魅力はどこにあると思いますか。

いわゆる〝鳥羽一郎感〟というのでしょうか、海の男の歌というイメージが他の曲に比べてもずば抜けてあると思いますね。父の声は海の人の声そのものですし、今聴いてもいいなと思います。昭和の時代を生きてきた方々には、強い男のイメージがたまらないのではないでしょうか。

――今回の特別盤のレコーディングには鳥羽さんは立ち会われたのですか。

いやいや、ぜんぜん。出来上がったCDを、母から父に渡してもらいました。父からの感想ですか? 特にこれということはありませんでした。父は、もともと褒めることはほぼしませんし、歌に関して例えば節回しなんかはそれぞれ個性だから、好きなようにやればいいという考えですから。ただ、母が、「CDを渡した日からずっと聴いているのよ」と言っていましたから、内心嬉しかったのかなとは思っています。

――同日発売でアルバム『ザ・カバー~昭和演歌名曲選~』もリリースされましたが、どんな内容か教えてください。

竜徹日記では歌ってこなかった演歌を、僕の歌で存分に聴いていただこうというコンセプトで昭和の名曲を10曲選んで収録しました。まず、僕が今歌える演歌を100曲ほどリストアップして、その中からプロデューサーさんや兄の意見も聞きながら、スローテンポ、アップテンポのバランスも考えて選曲した10曲です。

――美空ひばりさんの『みだれ髪』など難しそうな曲が並んでいますね。

『みだれ髪』に関しては、美空さんが歌われていたことや女歌であることなどはあえて意識しないで、純粋にメロディー、歌詞だけを頭に入れて歌いました。実はこの曲は、これまでもステージで何回も歌ってきていまして、他の曲より歌い慣れていることもあり、レコーディングでもスムーズに歌えたと思います。

―― 一番、苦労したのはどの曲ですか。

本当に難しかったのは『矢切の渡し』です。いろんな方が歌われていて、それぞれの解釈がある曲ですが、僕は細川たかしさんの歌を参考にしました。というのも、父の『矢切の渡し』を聴いたとき細川さんの歌い方に一番近いような気がして、それで僕も参考にさせていただこうと。ただ、細川さんは民謡の名手、節回しに微妙に民謡のテイストが入るんです。細川さんの歌唱からあまり離れないようにと、すこしだけ民謡の匂いを残しつつ歌おうと思ったら、本当に難しくて。この曲だけお願いして、何テイクも録らせていただきました。

――10曲目に鳥羽さんの『海の匂いのお母さん』が入りました。

父の歌からリストアップした候補曲が3曲ありまして、それが『男の港』、先ほどお話した『海の祈り』、そして『海の匂いのお母さん』。父の歌では『兄弟船』以外でこの3曲が、お客様や関係者の方など、いろんな方からリクエストされることが多いトップ3なんです。それで、まずこの3曲を歌ってみてスタッフの意見を聞いた結果、シングルには『海の祈り』が、アルバムには『海の匂いのお母さん』が採用されました。

――この曲は鳥羽さんが83年に出された『南十字星』のB面に入っていた曲です。表題曲ではないのに人気があるのですね。

そうですね。父もよくステージのトークで、海女をしていた母親が、僕にとっては祖母ですが、どんな人でというような話をするのでファンの方にも印象深いのかもしれません。

――お父様は、二代目の歌に関して何かおっしゃっていますか。

楽曲や僕の歌に関しては、何も言いません。普段から寡黙ですし、昔から家にほとんどいませんでしたからお互いに共通の話題もなくて、何を話したらいいかわからないということもあると思いますが。ただ、そういう意味では僕が演歌歌手としてデビューした今が、一番仲がいいかもしれません。現場の事、キャンペーンの事など全部、父本人が通ってきた道ですから話しができますし、喉が痛いと話すとその程度ならザラにあることなので大丈夫みたいな、ちょっとした相談もやっとできるようになりました。

――9月にはファーストコンサートが控えていますが、どんなステージにしたいですか。

父や山川さんのステージを見ていると、お客様が安心して楽しんでいるのが分かります。若手のステージを見るのとは明らかにお客様に余裕がある。これはキャリアや年齢的なものもあるのでしょうし、真似しようにもすぐに出来ることではないとは思いますが、少しでも近づけられたらと思っています。僕も兄と一緒にライブは7年ほどやってきましたので、その経験を活かして、歌もトークも落ち着いて楽しんでいただけるステージにしたいです。まだ構想中ですが、15~16曲くらいは歌いたいと思います。

――プロフィールの趣味欄を見ると筋トレやゲーム、お笑い、バスケなどいろいろ並んでいますが、プライベートで今、一番ハマっているは何ですか。

最近、その趣味は全部やめました(笑)。今のマイブームは食べ歩きです。料理のジャンルは問わず食べることが大好きで、仕事で地方に行ったときもまずご飯屋さんを探すところからスタートするくらい。地のものを使った各地の美味しい料理を食べられるのは、こういう仕事をしているからこそだと思って、存分にその〝特権〟を使わせていただいています(笑)。

――地方へ行ったらその街でしか食べられない料理を探すわけですね。

例えば富山へ行ったら、ラーメンの富山ブラックだったり、北海道では僕の大好物のカレーやジンギスカンだったり、美味しいものがいっぱいあるのでいろいろ調べていきますね。ただ、そんな食生活だったので、一時かなり太ってしまって。あまりみっともない姿で皆さんの前に立つのもいけないと思って、3月くらいにちょっと真似しちゃいけないような無茶なダイエットをして15キロほど痩せました。

――15キロとはまたずいぶん落としましたね。

そうしたら見事に体調を崩しまして、5月頭くらいはもうボロボロの状態で。通院して元に戻しましたが、無理なダイエットはダメだということを皆さんにもお伝えしたいです。

――ところで、芸能界で仲良くしている友だちはいますか。

……0人ですね。僕は30歳を超えてからのデビューですから、仕事でご一緒する歌い手さんは年下の方が多いんです。そうすると年上の後輩ですから、怖いのかもしれません(笑)。ましてや僕の後ろにはもっと怖そうな人の影が(笑)。それは冗談ですが、でも事務所の〝先輩方〟とは仲良くさせていただいていますよ。一条貫太さんとか津吹みゆさんとかは現場でよく一緒になりますし、話す機会は多いですね。後は関西ノリの田中あいみさん。彼女はあのキャラですから、恐れることなく近づいてきてくれるので(笑)

――さて、もうすぐデビュー2年目に入ります。どんな目標を持って進んでいきますか。

僕はまだまだ、父や叔父、兄といった身内に支えてもらっている状態ですので、早く皆に恩返しできるように頑張ることしかないと思っています。僕が頑張ることで『二代目』の楽曲が評価されて何らかの賞を取ることができたら、曲を作ってくれた兄に花を持たせることができますし、父や叔父にしても、ふたりが僕を見て立派になったと喜んでくれる場面を早く作りたい。それが今の目標です。

――最後に『二代目』特別盤を待っているファンに向けて一言お願いします。

先ほどもお話しましたが、昨年リリースした『二代目』がことのほか高い評価をいただいいて嬉しく思っています。この曲が僕の代表曲になれるよう特別盤を持って全国を回りますので近くに行きましたらぜひ応援に来てください。僕自身は演歌の魅力が同世代にもその下の世代にも、もっと広く伝わればいいなと思っています。YouTubeでもTwitterでも入り口はどこでもいいので僕の歌を聴いていただいて、演歌を好きになってもらえたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。

木村徹二 『二代目』ミュージックビデオ

木村徹二 『二代目』特別盤

発売中

品番:CRCN 8585
定価:¥1,400(税抜価格¥1,273)

【収録曲】
1.二代目
作詩:木村竜蔵/作曲:木村竜蔵/編曲:遠山 敦
2.夢の花道
作詩:麻 こよみ/作曲:木村竜蔵/編曲:遠山 敦
3.海の祈り
作詩:星野哲郎/作曲:船村 徹/編曲:遠山 敦
4.二代目 [オリジナル・カラオケ]
5. 夢の花道 [オリジナル・カラオケ]

木村徹二 『ザ・カバー ~昭和演歌名曲選~』

発売中

品番:CRCN-20481
定価:¥2,600(税抜価格¥2,364)

【収録曲】
1.みだれ髪
2.柳ケ瀬ブルース
3.よこはま・たそがれ
4.夢芝居
5.舟唄
6.津軽平野
7.矢切の渡し
8.長崎は今日も雨だった
9.与作
10.海の匂いのお母さん

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