J1首位の神戸が前大会王者の甲府撃破で8強入り! 先制許すも後半投入の両エースが圧倒的な個の力見せつける【天皇杯】

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2日、第103回天皇杯ラウンド16のヴァンフォーレ甲府vsヴィッセル神戸がJITリサイクルインクスタジアムで行われ、1-4で逆転勝利した神戸のベスト8進出が決定した。

前大会王者である甲府は、3回戦で鹿島アントラーズをPK戦の末に撃破。昨シーズンに続きJ1勢を破ってベスト16進出を決めた。直近に行われた栃木SC戦を0-3で完敗したJ2リーグ5位のチームは、バウンスバックを図ったこの一戦で先発6人を変更。ピーター・ウタカやジェトゥリオらをベンチに置き、三平和司や宮崎純真、鳥海芳樹らを前線で起用した。

一方、3回戦でジュビロ磐田を5-2で下し16強入りを決めた神戸。J1リーグでも首位に立つ好調なチームは、週末の横浜FC戦でのリーグ再開に弾みを付けるべく前大会王者撃破を狙った。この一戦では大迫勇也や武藤嘉紀の両エースをベンチスタートにしたが、酒井高徳や山口蛍、マテウス・トゥーレルといった主力を起用した。

立ち上がりから主導権争いが続く中、ホームの甲府がより効果的にボールを前進させていく。そして、序盤から幾度か際どいシーンを作り出していく。

すると、20分にはFKの流れから相手陣内左サイドで仕掛けた宮崎がカットインからシュート性のクロスをゴール前に入れる。これがDFにディフレクトしコースが変わってゴール右隅に決まった。

やや不運な形で失点した神戸は前半の内にスコアをタイに戻そうと、ここから反撃を試みていく。28分にはジェアン・パトリッキの強烈なミドルシュートが枠を捉えるが、これはGK河田晃兵の好守に遭う。

ここから攻勢を強めたい神戸だが、佐々木大樹を最前線に配置したことで、リーグ戦のようになかなか効果的にタメを作れず、攻撃が手詰まりに。相手のコンパクトな守備を前にボールの循環もいまひとつ機能しない。前半終盤にかけては人数をかけた仕掛けでゴールへ迫ったものの、甲府の堅守を前に決定機まであと一歩という場面が目立った。

迎えた後半、神戸はハーフタイムに3枚替えを敢行。川﨑修平と汰木康也を下げて大迫と武藤の両エースを投入。すると、2人の元日本代表FWは投入直後のコンビプレーから大迫が枠のわずか左に外れる際どいヘディングシュートでいきなり見せ場を作る。

後半のファーストチャンスを逃したものの、主力投入で完全に流れを引き寄せたJ1首位チームは早い時間帯に追いつく。53分、カウンターから右に流れた大迫のグラウンダークロスをニアに飛び込んだ佐々木がフリック。ファーのパトリッキのヘディングシュートがDFの身体に当たってゴール方向へ向かうと、DFとGKでかき出そうとしたものの、そのままゴールラインを割った。

これで完全に試合の主導権を掌握した神戸は自慢のアタッカー陣が躍動。そして、60分にはボックス手前左で酒井から足元にパスを受けた佐々木がGKの手前でバウンドさせるいやらしいミドルシュートを放つ。GK河田が何とかはじき出したものの、こぼれ球にいち早く反応した武藤が冷静に右足で蹴り込んだ。

神戸の圧倒的な個のクオリティに屈し、この試合初めてビハインドを負った甲府は失点直後に切り札のピーター・ウタカを投入。さらに、直後にはチームの魂である山本英臣をピッチに送り出す。だが、今シーズンを通して堅守が光る神戸を前に決定機はおろか、シュートまで持ち込むことができない。

一方、完全にゲームをコントロールしながらも試合を決定付ける3点目が遠い神戸。それでも、焦れずにチャンスを作り続けると、ホットラインが開通。78分、左サイド深くをえぐった初瀬亮の浮き球クロスを中央の武藤が頭でニアに折り返すと、これを大迫が頭で押し込んだ。

これで完全に試合を決めた神戸は前がかる甲府の背後を突いたカウンターでさらなるゴールを狙う。86分には大迫の見事な前線での潰しによって仕掛けたショートカウンターから、最後は武藤の正確な浮き球パスに反応したパトリッキがゴール前でのダイビングヘッドシュートを決め切り、トドメの4点目とした。

そして、このまま1-4で試合をクローズした神戸が前大会王者の甲府を撃破。J1首位チームの面目を保つと共に、2シーズン連続のベスト8進出を決めた。なお、準々決勝はセレッソ大阪vs湘南ベルマーレの勝者との対戦となる。

ヴァンフォーレ甲府 1-4 ヴィッセル神戸

【甲府】

宮崎純真(前20)

【神戸】

オウンゴール(後8)

武藤嘉紀(後15)

大迫勇也(後33)

ジェアン・パトリッキ(後41)

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