【酒井法子 最新インタビュー】③ アジアでも人気爆発!女優としても羽ばたいた90年代  大好評!酒井法子インタビュー、いよいよ最終回です!

『【酒井法子 最新インタビュー】② 福岡の少女が “のりピー” の愛称で人気アイドルに!』からのつづき

1987年に歌手デビューした酒井法子は「男のコになりたい」から「イヴの卵」まで、シングル16作が連続してトップ10入り。初のベストアルバム『Singles』(1990年)が1位になるなど、トップアイドルとして活躍する。90年代に入ると『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)、『星の金貨』(日本テレビ系)など、女優としても才能を発揮し、アジア各国でも絶大な人気を獲得した。

現在はラジオ2本のレギュラーに加え、テレビ、舞台と幅広く活動。7月から配信番組『のりニコッ!』(ニコニコチャンネルプラス)をスタートさせるなど、新たなフィールドにも挑戦している。7月19日に新曲「Funny JANE」を含むベストアルバム『Premium Best』をリリースした ”のりピー” こと、酒井法子へのロングインタビュー。最終回はシンガーとして飛躍した90年代と、これからの活動に対する想いを訊く。

「Love Letter」以降、等身大の作品が増えていった

―― 初期は若手の職業作家によるキャラクター色の強い楽曲でヒットを重ねた法子さんですが、尾崎亜美さんが書き下ろした「Love Letter」(1989年4月)以降、シンガーソングライターから提供された等身大の作品が増えていきます。20歳を迎えた1991年にはレベッカの土橋安騎夫さんが作曲を手がけたシングルを2作連続でリリースしました。

酒井法子(以下 酒井):「あなたに天使が見える時」(3月)と「モンタージュ」(6月)ですよね。もともと私はレベッカの大ファンでNOKKOさんは憧れの女性でしたから、土橋さんから提供していただけたことが本当に嬉しくて。今回『Premium Best』の選曲をするにあたって、すべての楽曲をリリース順に聴き直したのですが、「あな天」はそれまでにないタイプの作品で、ここから次のステップに進めたような気がします。

―― NOKKOさんは前回名前の出た戸川純さんに通じる魅力がありますね。

酒井:私って、全身からパワーを放っているような、カッコよくてかわいい女性に憧れるんです(笑)。海外のアーティストでいうと、シンディ・ローパーも大好き。コンサートでは「チェンジ・オブ・ハート」や「トゥルー・カラーズ」を歌っていましたから、1989年に雑誌の企画で対談させていただいたときは感激しました。その後、彼女のコンサートに行ったときも、プレゼントにイヤリングを持っていったら、お返しに私物のイヤリングをくださったばかりか、横浜の中華街で行なわれた打ち上げにも誘われて、なんとその会場に向かう車に同乗させていただいたんです。とにかく優しい方で、今でも大好きなアーティストです。

ロック系のミュージシャンを多数キャスティングした「マジカル・モンタージュ・カムパニー」

―― 土橋作品でロック路線にシフトした法子さんは1991年7月に9作目のオリジナルアルバム『マジカル・モンタージュ・カムパニー』をリリースします。それまでアイドルとは無縁だったロック系のミュージシャンを多数キャスティングした意欲的な作品でした。

酒井:当時のディレクターさんが、土橋さん、バービーボーイズのKONTAさん、カステラの大木(知之)さん、ユニコーンのアベビー(阿部義晴)さん、JITTERIN'JINNの(破矢)ジンタさんに「酒井法子を好きに料理してください」とお願いしてできあがったアルバムです。皆さん、それはそれは色の濃い作品を書いてくださって、私自身「こういう歌も歌っていいんだ!」と嬉しくて仕方ありませんでした。アルバムの名を冠したツアーでは際どいコスチュームで歌ったりして、ビジュアル面でもかなり冒険しています。皆さんの間では賛否両論あったかもしれませんけど、私は大好きな路線でしたね。今思うと、いちばん濃かった時代と言えるかもしれません。

―― 90年代の法子さんはNHK大河ドラマ『翔ぶが如く』(1990年)を皮切りに多数のドラマ、映画に出演。なかでも『ひとつ屋根の下』(1993年)の柏木小雪と、『星の金貨』(1995年)の倉本彩は当たり役となりました。

酒井:その頃から小雪や彩のような、切ない女性をイメージした曲が多くなりましたね。デビュー当時の弾けたキャラクターや『マジカル・モンタージュ・カムパニー』以降の遊びを卒業して、真面目な路線に転換した感じ(笑)。シングルで言うと「あなたが満ちてゆく」(1993年5月)以降は、そういう歌が続きました。ドラマに関しては、特に90年代は世の中の関心が連続ドラマに向いていましたから、ずっと出演したいと思っていたんです。

だから『ひとつ屋根の下』のお話をいただいたときはとても嬉しくて。共演者も素晴らしい方たちばかりで、そのうえ視聴率もよかったので、撮影中は緊張と幸福の背中合わせのような日々でした。歌は基本的に1人の勝負で、いつも「本当はこうしたいのに、どうして上手くできないのだろう」というジレンマを抱えていたんですけど、ドラマはみんなで創り上げていくものじゃないですか。しかも放送された翌日には世の中の話題になるので、自分がやっていることが認められているという実感と、それを皆さんと分かち合える喜びがある。打てば響く状況っていうんでしょうか。そういう経験はそれまであまりなかったので、私のなかでは大きな手応えを感じたお仕事でした。

「碧いうさぎ」はミリオンセラーを記録

―― 女優としての声価も高めた法子さんは、その経験を糧に歌でも素晴らしい表現力を発揮。『星の金貨』主題歌の「碧いうさぎ」(1995年5月)はミリオンセラーとなりました。

酒井:持ち歌のなかでいちばん歌っている曲でしょうね。歌とドラマの世界観が重なり合って、イントロを聴くだけで気持ちがスッと入り込めるし、今でも歌うたびにドラマの映像が甦ります。『星の金貨』は初めて主演した連続ドラマでしたから、大変なプレッシャーがありましたが、脚本がとにかく素晴らしかったんです。毎回、台本があがってくるたびに気持ちを持っていかれるというか、感情が動いて涙が溢れてきて。そういう世界を与えていただいて、演技をしたり、主題歌を歌ったりすることができて、本当に幸せだったし、貴重な体験をさせてもらったと思いますね。

―― 聴覚障がいを持ったヒロインという難しい役どころを見事に演じられました。

酒井:演技面に関して言えば、セリフを喋ることができない。だから相手に何かを伝えたいときは目を見て手話で話したり、字を書いたりしないと伝わらない。周囲の方は大変だったと思いますけど、私にとってはそれまでセリフにとらわれて上手く表現できなかったことが、この役を演じたことで「あ、自分はこんな表情やお芝居ができるんだ」という発見がありました。手話による演技は、手話の学校で先生をしながら、ご自身も劇団で活動していらっしゃる方に指導していただいたのですが、その方から学ぶこともいっぱいありました。

初出場の紅白では手話付きで歌唱

―― 初出場を果たした1995年の『NHK紅白歌合戦』で手話付きで歌唱したことも評判となりました。

酒井:ドラマがご縁となって、聴覚障がいを持った方のコンサートに呼んでいただいたことがあるのですが、その会場は客席が振動するようになっていて、お客様は拍手をするとき、手を挙げてひらひらさせていたんです。そのとき、歌は聴覚だけでなく、いろんな感覚で楽しんでもらえるんだということを知りました。そのコンサートでも手話付きで「碧いうさぎ」を歌わせていただいたのですが、テレビで披露したのは『紅白』が初めてでしたね。

―― 法子さんの人気はアジアでも爆発。1992年以降、台湾や香港で何度もコンサートを開催し、その都度、万単位の動員を記録しています。

酒井:いつも現地の方が驚くほどの歓迎をしてくださるので、コンサートのたびにパワーをいただいていました。こうして振り返ると、つくづくラッキーだったと思いますね。ドラマ出演で新しい道が開けたり、中国や台湾でも応援していただけたり。特に何かに秀でたわけでもない私がここまで来られたのは、支えてくださった皆様のおかげです。

―― それだけの魅力が法子さんにあるから、多くの方が力を貸してくださるのではないでしょうか。実際、音楽面でも90年代以降の作品には原田真二さん、上田知華さん、竹内まりやさん、河村隆一さん、辛島美登里さん、藤井フミヤさん、原由子さん、崎谷健次郎さん…… と、錚々たる方のお名前がクレジットされています。

酒井:恵まれていますよね。今年になって、あるイベントで原田真二さんが提供してくださった「涙がとまらない〜HOW!AW!YA!~」(1991年11月)を久しぶりに歌わせていただいたのですが、お客様の反応がすごくよくて。今までなかなか歌う機会がなかったんですけれども、久々に歌って改めて素敵な曲だと思いましたし、皆さんが喜んでくださる姿を見て私も嬉しくなりました。ディナーショーなどではメロウな歌や定番曲が中心になりがちですが、素晴らしい楽曲をたくさんいただいていますので、これからはもっと幅を広げて、いろんな曲を歌っていきたいと思っています。

―― それは楽しみです。これまで様々なことにチャレンジをしてきた法子さんですが、最近は特に新しいことへの取り組みが続いているようにお見受けします。デビュー35周年を迎えた昨年は2本のラジオ番組でレギュラーを務めることになりました。

酒井:そうなんです。畏れ多くも大先輩の森田健作さんが『森田健作 青春もぎたて朝一番!』(FM NACK5)の番組パートナーとして迎えてくださって。森田さんの人脈で毎回素晴らしい方がゲストとしてお越しになるので、すごく勉強になりますし、たくさんの刺激を受けています。北陸放送では『酒井法子のマンモスradio』という番組を昨年4月から担当させていただいています。

公式チャンネル「のりニコッ!」を開設。月に1度の配信番組を担当

―― 昨年8月にはインスタグラムの公式アカウントを開設。今回リリースした新曲のレコーディング風景など、日々の活動を投稿する一方、今年2月には公式YouTubeチャンネルがスタートしました。

酒井:デジタルに不慣れなところがあるので(笑)、周りの方のお知恵を借りながらやっています。ありがたいことに温かいメッセージばかりを寄せていただいて、励みになりますね。

―― 7月にはニコニコチャンネルプラス内に公式チャンネル『のりニコッ!』を開設。月に1度の配信番組を担当することになりました。

酒井:ニコニコ動画さんからいただいたお話で、最初は「私にできるだろうか」という不安もあったんです。でも神輿に乗るのは嫌いじゃないので(笑)、思い切って始めることにしました。

10月13日にはチャンネル登録をしていただいた方限定のライブを東京・目黒のブルース アレイ ジャパンで行ないます。これも新しい試みとして、皆さんからのアイデアを募集する予定ですので、ぜひプロデューサー感覚で、「こういうショーが観たい」というご意見を寄せていただきたいですね。

―― 聴きたい曲のアンケートはよくありますが、ライブ全体に関するコンセプトや演出面への要望が出せるとなると、お客様の参加意識がより高まりそうです。その『のりニコッ!』ですが、第1回のゲストが由紀さおりさんだったことも話題となりました。

酒井:『のりニコッ!』のプロデューサーがBSの公開音楽番組も制作されていて、3月にその方のご厚意で番組を観覧したことがきっかけです。ちょうど由紀さんが出演されていて、終演後、ご挨拶に伺いましたら、すごく喜んでくださって。

―― 由紀さんと法子さんはNHKの朝ドラ『ファイト』(2005年)で共演されていましたよね。

酒井:はい。それで「お久しぶりです」と申し上げたら、ギュッとハグしてくださって「元気でよかった」「私にできることがあったら言ってね」と。その様子を見ていたプロデューサーが由紀さんにゲスト出演のご相談をしたら快諾してくださったんです。ありがたくて身の引き締まる想いでした。

―― 由紀さんからはどのような言葉をかけられましたか。

酒井:「今は誰でも配信できる時代だから、法子ちゃんもどんどんやってちょうだい。でも始めた以上は続けることが大事よ」というお言葉に背中を押されました。そして「芸の道に終わりはないので、努力なくしては成長もない」と。由紀さん自身、自分が見たもの、聞いたもの、刺激を受けたもののなかで、「ああいう風になれると素敵だな」というものがあったら、それを自分のなかで咀嚼して新しいものを生み出していく。そのためにはどうしたらいいかということを常に考えてるとおっしゃっていて、感銘を受けました。あれほどのキャリアを持つ方でも努力を欠かさず、今より進化することを心がけていらっしゃる。だからこそ、ずっと輝き続けているのだということを大先輩の言葉から学ぶことができて、私の道しるべとなりました。

―― 9月に新たな舞台を控えるなど、多忙な法子さんですが、充実した日々を送られていることが窺えます。最後にファンの方へメッセージをお願いします。

酒井:由紀さんからいただいたお言葉を胸に刻み、皆さんに楽しんでいただけるものをお届けできるよう精進していきますので、これからも温かく見守っていただけると嬉しいです。ライブやイベントで直接お会いできる日を楽しみにしています!

酒井法子 出演情報 舞台「藤堂和子“ママ稼業”五十周年記念作品 ごりょんさん~親子三代ママ稼業~」

日時:2023年9月9日 (土)~11日 (月)
場所:三越劇場(日本橋三越本店本館6階)
チケット(税込):プレミアム席(1F:1列目オリジナルラベルワイン〜10列目 赤・白セット付)¥15,000
A席(1F:11列目~17列目)¥10,000
B席(2F:A列目~E列目)¥5,000

出演
風祭ゆき
酒井法子
大竹一重 ほか

【お問い合わせ】株式会社フリーハンド
TEL: 03-5981-9478(月~金 / 10時~18時・祝日は除く)
MAIL: butai@f-hand.co.jp ごりょんさん ウェブサイト: http://www.f-hand.co.jp/goryonsan/

カタリベ: 濱口英樹

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