バングラ文具支援10回目 33年前のジャパンテント縁に 宝達志水の松本さん

バングラデシュの子どもたちに贈る文具などを確認する松本さん=宝達志水町小川

  ●7日渡航「早く子どもたちの笑顔見たい」

 33年前の「JAPAN TENT」(北國新聞社特別協力)を縁に、バングラデシュの教育支援を続ける男性が宝達志水町にいる。元学習塾経営の松本三男さん(81)=同町小川=で、7日に現地を訪問し、廃業した書店や知人から寄せられた約5千点の文具や学用品を農村の学校に届ける。松本さんが学用品を持って渡航するのは10回目で、松本さんは「早く子どもたちの笑顔を見たい」と準備を進めている。

  ●ペンやタオル5000点

 松本さんは1990(平成2)年、ジャパンテントのホスト家族として、金大大学院に通っていたバングラデシュ出身の男性留学生1人を受け入れた。留学生と交流を続ける中で知ったのは、同国の劣悪な教育、衛生環境だった。

 96年、松本さんは妻の輝子さん(78)とともに留学生の招きでバングラデシュを訪問。外壁が竹で作られた校舎や電灯のない暗い教室を目の当たりにし、子どもたちの支援を始めた。

 知人や塾の教え子から寄せられる文具や雑貨を渡航のたびに届け、自費で奨学資金も設けた。2008年には県内の有志と「小学校を建てる会」を結成し、首都ダッカから約90キロ離れたイラスプール村で「石川モデルアカデミー」の開校につなげた。

 コロナ下で見送っていた現地訪問は3年半ぶりで通算12回目となり、7日から15日まで滞在する。今回は町内と羽咋市で廃業した書店2店などから不要になったクレヨンやボールペン、画用紙などが託され、北陸学院小の児童からも鉛筆やノートが寄せられた。タオルやハンカチなどの日用雑貨も合わせて5千点(重さ約100キロ)を数え、石川モデルアカデミーに届ける。

 支援を受けた子どもたちや石川を訪れた留学生から「日本のお父さん」と親しまれる松本さん。20年6月に病気で入院したのをきっかけに学習塾を畳んだが、「バングラデシュの子どもたちが支援を待っている限り活動を続けたい」と話した。

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