娘死亡…生後3カ月、暴行した母に執行猶予5年 周囲は育児に協力せず、つらい状況「夫が協力していたら」

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 2021年6月、埼玉県志木市内の自宅で生後3カ月の長女を暴行し死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた母親の無職土屋美保被告(38)の裁判員裁判の判決公判が2日、さいたま地裁で開かれ、金子大作裁判長は懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。

 金子裁判長は判決理由で、長女に対する暴行について、当時生後3カ月で受け身を取ったり抵抗したりして自らの身を守ることは不可能だったとして「重大な結果を生じさせる危険をはらんだもので、犯行態様は軽微とは言えない」と指摘。一方で、育児に関して周囲の協力が得られず心身ともにつらい状況にあったことや、日常的な暴行の実態がなかったことなどを挙げ「直ちに実刑に処するほかないとまでは言えない」とした。

 弁護側は育児に夫の協力などがあれば回避できていた可能性もあったとして「社会の中で責任を取ることがふさわしい」と執行猶予付きの判決を求めていた。

 判決によると、土屋被告は21年6月22日、志木市内の自宅で長女・夢空ちゃん=当時生後3カ月=に対して頭部に暴行を加え硬膜下血腫の傷害を負わせ、同月24日に死亡させた。

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