名画のうちわと掛け軸で防犯啓発 倉敷署、大原美術館の協力で制作

児島虎次郎の代表作を印刷した防犯啓発用のうちわ(左)と掛け軸

 倉敷署は、大原美術館(倉敷市中央)の協力を得て防犯を呼びかけるうちわと掛け軸を制作した。洋画家児島虎次郎(1881~1929年)の代表作をあしらい、啓発活動などで活用。アートの力を借り、増加傾向にある特殊詐欺や自転車盗難への注意を喚起する。

 いずれも、静かに眠る幼女を描いた「睡(ねむ)れる幼きモデル」(1912年)を表面に印刷。うちわは裏面に「自転車に鍵を掛ける、怪しい電話はすぐに切る」、掛け軸(縦約50センチ、横約20センチ)は絵の脇に「電話やメールでお金、ATM、還付金、キャッシュカード等のキーワードが出たら、そ・れ・は、詐欺!」の標語を添えた。

 うちわは千本用意し、広報活動や啓発イベントで配布。掛け軸(100枚)は管内約90カ所の金融機関に提供し、ATM周辺に掲げてもらう。

 同美術館と連携した防犯グッズの開発は、昨年に続いて2回目。7月14日に同美術館でお披露目され、森川政典副館長は「幼女の表情を見ると心が和む。犯罪意思をなくす一助になれば」、池田辰夫署長は「名画の力で防犯の輪を広げたい」と話していた。

 同署によると、管内の上半期(1~6月)の特殊詐欺の被害額は前年同期比約6割増の2580万円。刑法犯認知件数は同66件増の739件で、自転車盗や万引、車上狙いが多いという。

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