ウェストハムはなぜライスの後釜を確保できない? 開幕目前で今夏の補強ゼロ…新SDに現場サイドが不信感

[写真:Getty Images]

ウェストハムの内部が混乱しているようだ。イギリス『サン』が伝えている。

ウェストハムは今夏、キャプテンであり、攻守の要だったイングランド代表MFデクラン・ライスをアーセナルへ売却。今夏の流出は早い段階から想定できていたはずだが、候補の名こそ挙がれど、現在まで確保できていない。

ライスの売却によって1億500万ポンド(約191億4000万円)を稼ぎ、かねてより経営状況も安定。にもかかわらず後釜を確保できていないのは新スポーツ・ディレクター(SD)としてティム・シュタイテン氏が就任した影響とみられている。

今年3月までレバークーゼンのスカウト責任者を務め、ウェストハム行きが決定する前はリバプールやトッテナムからも声がかかっていたとされるシュタイテン氏。ウェストハムのSD就任にあたり、クラブの筆頭株主の1人から「健全経営を守れ」と厳命されていたという。

これ自体はもちろん素晴らしいことであり、シュタイテン氏の理念も「有望な若手を安価で獲得し、即戦力に育て上げる」というものとのこと。上層部にとってシュタイテン氏は理想的な人材に映っていることだろう。

一方で、現場サイドの不満は募るばかり。デイビッド・モイーズ監督らコーチ陣はプレミアリーグで実績を持つ即戦力を望んでおり、フルアムのポルトガル代表MFジョアン・パリーニャ(28)らライスの後釜候補の獲得に失敗し続けるシュタイテン氏の手腕を疑問視しているとのことだ。

ライス売却によって足元をみられ、要求額を釣り上げられているというシュタイテン氏とウェストハム。パリーニャ以外にもチェルシーのイングランド代表MFコナー・ギャラガー(23)、サウサンプトンのイングランド代表MFジェームズ・ウォード=プラウズ(28)の獲得に失敗したといわれている。

また、12日にプレミアリーグ開幕を控え、今夏の補強はまさかのゼロ。マンチェスター・ユナイテッドのイングランド代表DFハリー・マグワイア(30)、ユベントスのスイス代表MFデニス・サカリア(26)らの獲得も目指しているとされるが、シュタテイン氏は誰ひとりとして交渉をまとめられていない。

上層部の意向で補強資金の提供が乏しいのかもしれないが、現場サイドの不満がシュタイテン氏に向けられても仕方のない状況となっている。

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