病院「地域と運命共同体」 看護学校協 茨城・水戸で学会開催

日本看護学校協議会学会で講演した鈴木邦彦学会長=水戸市民会館

第35回日本看護学校協議会学会が3日、茨城県水戸市泉町1丁目の水戸市民会館で開幕した。高齢者が住み慣れた地域での暮らしを全うできるようにする「地域包括ケアシステム」の構築を巡り、学会長で県医師会長の鈴木邦彦氏らによる講演が行われた。オンラインを含め、看護学校の関係者や一般市民など約1000人が参加し、看護師の現状や課題などについて理解を深めた。4日も講演や公開講座が予定されている。

全国の看護学校で構成される協議会の学会で、茨城県での開催は初めて。講演などを通して互いに知見を深め、より充実した看護師養成につなげるのが狙いだ。

鈴木学会長は自身が理事長を務め、病院や高齢者施設などで構成する「志村フロイデグループ」の地域に溶け込んだ取り組みを紹介した。地域包括ケアシステムを念頭に置いた地域活性化プロジェクトやコミュニティカフェの設置、買い物支援などの事例を挙げながら、「中小病院は地域と運命共同体」と強調した。

地域包括ケアシステムに対応できる看護師養成のカリキュラムとして、同グループの看護学校の実践例を説明。地域活動への参加などによって、多くの学生が訪問看護や地域の人の暮らしに興味を持ったとし、「看護教育が変わっていくことが求められている」と語った。

このほか、地域包括ケアシステムの構築に向けた多職種連携の重要性を考えるシンポジウムや、看護師が地域住民の暮らしに日常的に関わる「コミュニティナース(コミナス)」の実践者による公開講座なども実施された。

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