理性は本能に負けやすい!?脳の中には3つの機能があり、バランスが崩れると依存症になる?【図解 依存症の話】

依存症は3つの脳の機能の不和が原因

人の脳には大きく3つの機能があります。1つ目は「生命維持を司る」機能で、例えるなら「爬虫類の脳」。普段はほとんど意識することはありませんが、呼吸をする、心臓を動かすなど、まさに生きるために欠かせない活動を指示しています。2つ目は「感情を司る」機能で、例えるなら「サルの脳」。喜怒哀楽をはじめとする心の動きを指示します。3つ目は「理性を司る」機能で、例えるなら「ヒトの脳」。言葉という道具を使用して情報を分析し、理性的な行動を指示します。この3つの機能を持つ脳の中で、高度な言語を使い、理性を司る「ヒトの脳」が最高司令官のように思えますが、むしろ、生命維持を司る「爬虫類の脳」が最も強く、理性を司る「ヒトの脳」は最も弱いのです。

例えば、理性の力で呼吸や心臓を止めることはできません。また、目の前のスイーツやお酒の誘惑に勝てないのは、理性を司る「ヒトの脳」が、本能的な感情を司る「サルの脳」に負けやすいからです。理性を司る「ヒトの脳」は「お酒の飲みすぎは体を壊して死を招くリスクがある」と理解しています。そのため、正常なら脳は酩酊感を強く求めません。しかし、繰り返し飲酒することで感情を司る「サルの脳」が変化し酩酊感を強く求めるようになり、お酒をやめられなくなります。このような状態が依存症といえます。

脳には3つの役割がある!

自分の意志ではやめられないとはどういうことなのでしょうか。脳の3つの役割と力関係がわかると理解しやすくなります。

例えるなら爬虫類の脳!

「生命維持を司る」機能

食べる、呼吸するなど生きるために欠かせない重要な働きを担っているため一番強い。

例えるならサルの脳!

「感情を司る」機能

喜怒哀楽などの心の動きや所有欲などをコントロール。

例えるならヒトの脳!

「理性を司る」機能

言語を使って情報を分析し、よりよい反応や行動へと導くが、3つの機能の中で一番弱い。

「ヒトの脳」は生命維持や、怒り、恐怖、好き嫌いを司る脳に負けることがある。

3つの機能のバランスが崩れると依存症に!

依存症は、感情を司る「サルの脳」が変化している状態なので、ダメだとわかっていても自分自身(=「ヒトの脳」)では止められません。

例えば禁酒中にお酒が目の前にあるとき

「脳の 「感情を司る」機能が変化すると依存症に!

出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之

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【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著

特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。

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