3年生、夏物語2023 野球 母の一言が原動力となった 後藤駿太(大分舞鶴3年) 【大分県】

第105回全国高校野球選手権大分大会

7月24日 別大興産スタジアム

準決勝

大分舞鶴 000 001 000|1

明 豊 000 000 02×|2

「あなたが頑張るなら私も頑張るだけ」

母にとっては何気ない一言だったけど

僕にとっては3年間の心の支えになりました

全国高校野球選手権大分大会の三行詩作品で応募された808作品の中から最優秀賞に選ばれた大分舞鶴の後藤駿太の作品だ。1年生の秋の大会で負けた翌日の朝食時に母・麻美さんの一言が鮮明に頭の中に残った。その日から朝の自主練習を取り入れ、練習後も時間が許す限り居残り練習に励んだ。見守ってきた麻美さんは「頑張り屋で弱音を吐くことはなかった」と話す。

2年時には21世紀枠で春のセンバツ甲子園に出場した。「甲子園は夢の話だと思っていたが、プレーする姿を見て感動した」(麻美さん)。我が子が輝く姿を見て、さらにサポートすることを決意したという。食事管理に睡眠、調べたこと、教えてもらったことを何でも取り入れた。

最上級生になった後藤はキャプテンとして自分の色を出せずに悩んだ時期もあった。「歴代のキャプテンはムードメーカーやプレーで引っ張っていく方だったが、自分は普通。面白くもなければ真面目でもない。どうすればいいのか悩んだが、好きな野球を楽しむことを一番に考えた」と、自然体で練習に取り組み、自分ができることをコツコツと積み重ねた。

三行詩作品で最優秀賞に選ばれた

高校野球の集大成として臨んだ今大会。後藤は安定した守備と勝負強さを発揮して、勝利に貢献した。準決勝の明豊戦は、特別な思いがあった。後藤は「2年連続決勝で敗れた相手。先輩たちの悔しさを知っているし、明豊に勝って甲子園がある。乗り越えなければいけない」と強い覚悟で立ち向かった。6回無死満塁の場面では、「何度も練習でシミュレーションした。気持ちで負けず、来た球を打った」と中犠飛で先制点を呼び込み、しっかりと自分の役割を全うした。しかし、結果は追い詰めながらも逆転負け。無情にも後藤の高校野球がここで終わった。

試合後はキャプテンとして気丈に振る舞い、仲間に声を掛けた。「負けたのは悔しいが3年間、このチームで野球ができたことを誇りに思う。全く後悔はない」と応えた。母に対しての思いを聞かれたときは「試合だけでなく練習も見にきてくれ、ずっと近くで応援してくれた。母の姿を見て、キツい練習も頑張ろうと思えた。感謝しかない」と声を詰まらせ、これまでこらえていた感情があふれ出た。母の支えが原動力だった。それは、これからも変わらない。「これで高校野球は終わったけど、次は大学受験に向けて勉強を頑張る。またサポートしてほしい」と、もう少し母に甘えるつもりだ。

勝負強いバッティングが光った

(柚野真也)

© オー!エス! OITA SPORTS