永田ゆづる(ながた・ゆづる)氏は元NHKの報道記者。奈良県に赴任したことがきっかけで、奈良県の素晴らしさと、抱える課題を実感。報道だけではこの課題は解決しない、と課題の解決に向けて政治家へと転身されました。現在は、奈良県議会議員の1期目を務めています。
報道でどのような課題に直面したのか、議員として何を実現したいのか?など、永田氏にお話を伺いました。
報道記者として「問題を提起」するだけではなく、責任を負って「問題を解決」したい
選挙ドットコム編集部(以下、編集部):
政治家を目指したきっかけについて、教えてください。
永田ゆづる氏(以下、永田氏):
私は大学を卒業後、報道記者として奈良県に赴任し、県内のいたるところを取材しました。
奈良県は東大寺、法隆寺、唐招提寺などが有名なように、奈良県の国宝数は全国で3番目に多く(奈良県)、中でも彫刻・建造物の件数は全国で1番です。
奈良県の方もその歴史や文化に誇りを持っている方も多く、実際、私も奈良は心の豊かさを育む街であると感じています。
しかし一方で、報道記者として奈良県の抱える数多くの課題も目の当たりにしました。
例えば、奈良市の山間部で、ある業者が土砂を削り過ぎており、いつ崖崩れが起こってもおかしくない状況が発生していました。
現地の方もどうしたら業者を抑えられるのか分からず、本当に困ってらっしゃいました。
この状況については、実は県庁も認識していました。しかし再三の警告にもかかわらず、工事は一向に止まらなかったんです。
県警などの担当者さんは、報道記者である私に託してくれたんだと思います。ポロッと私に現状をお知らせくださいました。
私の報道を皮切りに他のメディアも追従し、その問題は県内で大きく取り上げられ、その業者は逮捕。また、条例も変更されました。
この時に、あらためて政治の力を実感しました。しかし一方で「問題を認識できていないと政治の力も機能しない」ことも実感しました。
編集部:
その報道がきっかけとなって政治家を目指したのですか?
永田氏:
いえ、政治には元々興味はありました。
大学生の頃に所属していた弁論部の先輩方が政治家になるのを見て親しみもありましたし、小泉首相が拉致被害者を連れ戻したり政権が代わったりしたこと、コロナの問題など、政治は私達の生活に大きく影響があるんだと感じていました。
報道の仕事は、社会に埋もれる問題を提起できるというやりがいもあり、充実したものでした。しかし「問題提起」はできるけれども、「問題解決」まではいたらないことに歯痒さも覚えていました。
もっと自分自身で責任を負いながら、問題を解決したい!そういう立場になりたいな、という想いから政治家を志しました。
編集部:
議員になってみて、いかがですか?(※本取材は議員になられて3ヶ月後に実施)
永田氏:
外で見るのと中で見るのでは、全然違うと実感しています。また、自分自身の行動や発言に責任が伴うことも感じています。
私は報道記者時代、数多くの「声なき声」に出会ってきました。本当に困っている人は、なかなか声を挙げることができません。そのため、政治が認識していない問題も少なくありません。
私は今、議会で問題提起ができる立場になりました。問題提起ができるからこそ、問題の解決に動き出せると感じています。
若者にも選ばれる奈良にするには?
編集部:
具体的にどのような課題を感じてらっしゃいますか?
永田氏:
数ある課題の中でも私が重要視しているのは、中小企業支援と雇用創出です。
雇用に関する取材をしている際に「奈良には帰りたいが、働く場所がなく断念した」という若者の声を多く聞きました。実際、過去20年間における奈良県の40代までの人口減少率は約28%です。
人生において「働く」という選択肢が、奈良県で実現できないことに切実さを感じております。
だからこそ、奈良県内に魅力ある中小企業を生み出すために、民間企業の研究開発を支援し「グローバルニッチトップ企業」の創出をしていきます。
また並行して、女性の多様な働き方を可能にする企業を増やしたいとも考えています。奈良では、「働きたい!」と意思があるにもかかわらず「大阪にしか雇用がないため通勤時間を確保できない」「時短勤務やフレックスであれば働けるのに」という女性も少なくありません。
今、ハローワーク奈良では24ヶ月以上連続で求人倍率が前年同月を上回っているように、人手不足も深刻化しています。こうしたミスマッチを減らすための環境整備も進めたいと考えています。
観光は「ついで」からの脱却を
永田氏:
また、地域経済の活性化では、奈良県内の「宿泊」がポイントになると感じています。
奈良県内の宿泊客は全国的にみても非常に低水準です。それは、京都や大阪などに宿泊しながら、ついでに奈良にも足をのばすという観光プランが組まれているからです。
そのため、どうやったら奈良県に宿泊してもらえるのか?という観点で、イベントを考えたり、観光PRの推進などができるのではないか?と考えています。
記者の視点で県政のプロセスを「透明化」したい
編集部:
この先活かしたい、と思うご自身の強みはありますか?
永田氏:
報道記者時代に培った「記者の視点」が県議会の改革に一役買えるのではないか?と考えています。
記者時代、税金の使い道として「しっかりと検証されないまま事業が推進されているのではないか?」と感じる事例を取材し、県の政策や考えが「常に晒され続ける」ことの重要性を感じました。
ですので、税金の使い道や優先順位のチェックや、問題提起できる取り組みを行うほか、県政における情報公開や政策決定のプロセスをより透明化したいと思っています。
編集部:
ありがとうございます!最後に、趣味や休日のリフレッシュ方法について教えてください
永田氏:
テニスやマラソンですね。マラソンは2022年には東京マラソンにも出場して完走しました!運動以外だと犬(チワワ)の散歩が私の趣味ですね。
また、休日はよくサウナに行っています。3回サウナに入って、3回水風呂に入るというサイクルを繰り返すことで、たまった疲れをバッサリと落とせます。
最近は、自意識過剰かもしれませんが「あれ?誰だっけ?永田議員かな?」とチラチラ見てもらえることも増えたので、ぜひ気軽に声をかけてもらえたらと思います(笑)
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