「ここに来ると光がある」“中部電力 MIRAI TOWER”の下に集まる人々 点灯から消灯までの人間模様

コロナ禍の間もずっとそこにあり続けた、高さ180mの名古屋のランドマーク「中部電力 MIRAI TOWER(名古屋テレビ塔)」。アフターコロナの街を照らすタワーの光。点灯から消灯するまでのおよそ5時間、タワーの下に集まる人々の姿を追いました。

「直接会うのは2か月ぶり」久々の再会を喜ぶ大学生たち

名古屋市中区の「中部電力 MIRAI TOWER(名古屋テレビ塔)」。日本初の電波塔として1954年に完成し、2024で開業70年を迎えます。2022年12月には、国の重要文化財にも指定されました。2020年には、タワーのふもとに広がる公園も、30店舗以上の飲食店などが入る商業施設にリニューアルオープン。今や名古屋を代表する観光スポットのひとつとなっています。

タワーが点灯するのは18時半。点灯後、タワーのふもとに集まる人々に話を聞いてみました。最初に話を聞いたのは、大阪から観光にやって来た大学生の女性4人組です。

(大学生・22歳)
「私の地元が名古屋なんですよ。それで案内してって感じでした。名古屋を離れて4年目です。新しくなって映えスポットと聞いていたので、連れてこられる場所ができたという感じ」

男性3人組の大学生もいました。

(大学生・18歳)
「実家に帰省しようと思って、友達に会いに来たんですけど。中学校からずっと仲はいいですね。電話を結構毎日しているので、直接会うのは2か月ぶりなんですけど、直接会うのはめっちゃいいですね。言葉で表せないですけど」

異なる土地から集まり、音楽で心を通わせる人々

18時15分のタワー下。週に3回はタワー下の広場で演奏するという、ブラジル出身のストリートミュージシャンを見つけました。25年ほど前から世界各国を旅しながら、プロのミュージシャンとして、イベント会場や路上などで演奏を披露しているといいます。名古屋には、2か月前にやってきました。

(ストリートミュージシャン)
「タワーの下は環境がいいし、人も僕に対してすごく良くしてくれるよ。みんな腰を据えて、僕の音楽をしっかりと聴いてくれるんだ。それと驚いたのが子どもから高齢者までみんなが一緒になって楽しんでいることだよ」

そんなストリートミュージシャンの演奏に耳を傾け、体を揺らす男性も。

(会社員)
「コロナ禍になって、色んなところに出入りできなくなって、“三密を避けましょう”と言われて、公園に行ってみようかなと思って。公園に来たら色んな音楽が流れていた。大阪から単身赴任で名古屋に来ていて、かれこれ5、6年ですかね。ちょっとさびしい単身赴任を楽しくさせてくれる」

タワーを支えるスタッフの喜びの声「充実した」

日頃から、タワーの運営を支えているスタッフにも話を聞きました。

(名古屋テレビ塔株式会社・石坂喜和さん)
「すごくインバウンドのお客さんが増えたのが印象的ですね。公園で遊んでいる人とか、この時間帯にいるのは珍しい。(新型コロナが)5類になってから、GW明けから(人出が)増えた印象です」

時刻は21時35分。展望台の営業も終わりに近づきます。展望台の閉館作業をするスタッフにも話を聞きました。活気を取り戻したタワーに、喜びを隠しきれない様子です。

(名古屋テレビ塔株式会社・石坂喜和さん)
「久しぶりに、にぎわいのタワーが見られたので充実したかなって感じですね。コロナ禍で公園とタワーはリニューアルオープンしたんですけど(当初は)全然人が来なくて、さみしい栄だなと思っていて、うれしいですね。街が活気づくのは本当にいいことだと思う」

「ここに来ると光がある」人々を癒し、背中を押すタワー

時刻は22時15分。ダンスの練習をする女性に話を聞きました。高校時代に部活動で始めたダンス。大学卒業後もダンサーへの夢を諦めきれず、3年前に東京のダンスの専門学校に入学。今年2月に卒業し、地元の名古屋に戻ってからは、喫茶店でアルバイトをしながら、踊り続けています。

(アルバイト・25歳)
「3年ぶりに名古屋に帰ってきたんですけど、3年前とは全然違ってすごく活気づいているし、たまにおじいちゃんやおばあちゃんが声をかけてくれたりとか、本当にその時だけだけど、私の最初のお客さんは、そのおばあちゃんだったりするし、見てくれてすごくうれしかった」

タワーの消灯まで、あと12分。最後に話を聞いたのは、幼い子どもを連れた女性。

(スナック勤務)
「スナックで働いていて、その帰りです。去年離婚したんですけど、昼間も他の仕事をしているんですけど、それだけじゃ(子どもを)養えなくて」

子どもは1歳半だと言います。

「近くに(夜間の)託児所があるので、そこにお迎えに行って、ここで休憩して帰ります。生活とかいろいろ大変なことはたくさんあるんですけど、ここに来ると(タワーの)光があるので、照らしてくれている気分になるから」

そして24時、タワーの下に集まる人たちを明るく照らしていた灯りが消えました。「中部電力 MIRAI TOWER」はこれからも、この場所に集まる人々の人生を見守ります。

(CBCテレビ「チャント!」7月25日放送より)

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