河野太郎氏「先憂後憂」 首相が現行健康保険証「廃止延期」に含み、後輩の疑惑も浮上

河野太郎氏

 マイナンバーカードとの一体化に向けた健康保険証の廃止時期を巡り、岸田文雄首相は「来秋廃止」方針を当面維持するものの、「廃止延期」の可能性に含みを持たせた。日程厳守の中で対応に当たる河野太郎デジタル相(衆院神奈川15区)は、いつはしごを外されるか分からない状況で、さらにここへ来て、再生可能エネルギー推進派の後輩である秋本真利衆院議員の金銭授受疑惑が浮上。自民の閣僚経験者は「先輩からも後輩議員からも裏切られ、先憂後楽ならぬ『先憂後憂』だ」と河野氏をおもんぱかる。

 秋本氏は河野氏とともに原子力発電への依存に疑問を投げ掛け、風力など自然を利用する発電の拡充を推進してきた。選挙応援では河野氏が「私の大切な右腕」と評することもあったという。両氏と再生可能エネルギーを推進してきた議員は「政権構想の中で河野さんの頭の中には秋本さんの存在があったと思う。河野さんにとどまらず、運動を担ってきた市民団体などにとっても大変なショック」と影響を説明した。

 健康保険証の「来秋廃止」を巡っては、岸田首相は萩生田光一政調会長ら自民党の提案などを受け、今週初めに延期方針の公表に傾いていたという。首相の意を受けた官邸は河野氏の外堀を埋めるべく、加藤勝信厚生労働相の説得に動いたが、政府関係者によると加藤氏は「延期と言うのは簡単だが『来秋』は法律に明記されている。秋の臨時国会に改正案を出せば野党から蜂の巣にされる」と一蹴したという。

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