コピペは悪いこと?哲学者の学長が高校生に語った深い考え方 生徒「新鮮だった」

コピペの是非を題材に、疑いを徹底するという哲学の考え方を紹介する川添学長(京都府南丹市園部町・園部高)

 京都府南丹市の園部高で、哲学者で福知山公立大(福知山市)の川添信介学長が「コピペは悪いことか」と題した講義を行った。盗む行為の善悪にまで考えを深め「徹底的に疑う」という哲学の考え方を生徒らが学んだ。

 西洋中世哲学が専門の川添学長は、哲学は特定分野の知識ではなく、考え方のスタイルだと説明。「当たり前」を疑うことや論理の筋道にこだわることが特徴だと述べた。

 「コピペ―」の問いについて、複写する行動自体に善しあしは伴わないが、意識せずに盗用を念頭に置く人が多いと指摘。「哲学者は『盗んでいるから悪い』で終わらせない」とし、盗みの是非へと議論を発展させた。

 盗みの内容にも「ねずみ小僧」から遊ぶ金欲しさまであり、価値評価の基準は道徳に従うべきとする義務論、社会の幸福につながるかを重んじる結果主義があると紹介。コピペが良いと言える事例は考えにくいとしつつ「何となく悪いと考えることが本当か、一般的な次元に戻って考える」と強調。「生活の中で使えれば考え方を強靱(きょうじん)にできる」と学ぶ意義を述べた。

 1年生の進学希望者向け補習として行い、約60人が出席。男子生徒(15)は「言葉の意味を最初までさかのぼって考える経験はなかったので新鮮だった」と話した。

© 株式会社京都新聞社