峠三吉、晩年の原稿発見 原爆詩人、創作過程か

見つかった峠三吉の原稿で、広島への原爆投下について記された部分

 広島での被爆体験を詩に詠んだ原爆詩人峠三吉(1917~53年)が書き残した直筆の原稿がこのほど、市民団体「広島文学資料保全の会」に預けられた遺品から見つかった。日本が戦争に突き進み、原爆が投下されて終戦に至るまでをつづっている。保全の会は晩年の原稿とみており「試行錯誤して創作する過程がうかがえる重要な資料だ」としている。

 タイトルは「日本の軍国主義的発展と崩壊 原爆によるエポックと米国による属国化 その中でうごめく国民と、闘う力と。」と付けられ、わら半紙4枚の裏面に鉛筆で記されている。

 保全の会によると、遺品は2015年に峠の親族から預かり、整理中に直筆原稿を見つけた。

 峠は戦後、詩を通じて反戦を訴え、1951年に「にんげんをかえせ」で知られる代表作「原爆詩集」を発行した。

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