「ONSEN JAPAN」を食と酒で楽しむウォーキングの目線で世界に売り出す

ONSEN・ガストロノミーツーウォーキングは、温泉地を起点とした6~8㎞のコースに6カ所~8カ所のポイントがあり、地元の食材を提供し、地酒を楽しんでもらう。アルザスと同様、地域の事情に合わせて,300人から500人が参加し、20分毎に小グループに分かれて出発して行く。会費として3,000~5,000円の料金を頂いている。2016年11月に別府市で試験的に実施し、好評を得たので自信を得た。旧来のウォーキングのみのイベントに比べて、幅広い年齢層の参加者があり、中には、べビーカーを押しながらの家族連れの参加者もあった。途中、昔の湯治場が史跡になっており、そこでバイオリンの演奏をしたところ大変好評であった。これは、いけるという感触を得た。

2023年4月までに130回、2万人以上が参加

本格的なスタートは、翌2017年5月からだ。前年の熊本地震からの復興に取り組む阿蘇市で復興ONSEN・ガストロノミーウォーキングとして実施し、参加料を阿蘇神社の復興資金に全額として阿蘇市に寄付させていただいた。歌う市長として有名な佐藤市長のエールに送られて出発し、阿蘇山の外輪山に囲まれた水を張ったばかりの田園風景の絶景の中を歩き、地元で採れたての野菜や阿蘇の赤牛を各ポイントで、地酒と共に頂く。折からの晴天も味方して満足度は最高となった。参加者は、SNSでほぼ集まり、参加者が体験をSNSで発信し拡散する。阿蘇が素晴らしかったので、SNSで評判が広がり、次週行われた天草での大会も満員の盛況であった。今度は、離島で行われる海の絶景を歩き、タイやアワビなどの魚介類を頂く。景色も食も日本の多様性は、群を抜いている。

そして、コロナ禍を経て2023年4月までの間に北は稚内から南は沖縄まで、のべ130回、2万人以上の方にご参加頂いた。

とりわけ2018年のグランプリに輝いた岐阜県高山市奥飛騨温泉や2019年の長野県駒ケ根市、千葉県いすみ市でのイベントは、それぞれ600名以上の参加があり、地域の一体感、食、酒、景観、いずれもが素晴らしかった。各所とも、食でわが地域を売り出そうという気概に満ちあふれて大変印象に残るものがあった。

毎回必ずアンケートを実施しているが、参加者の満足度は、平均96%ととても高い。参加者の年齢層も広く分布しており、友人、ファミリー、一人参加等、参加形態も多彩である。参加者の地域分布は、当該自治体が1/3、県内からが1/3、県外1/3というところである。近い将来、これにインバウンドが加わり1/4ずつになれば、理想形に近づくと思っている。ONSEN・Japanを食と酒で世界にアピールしたい。

寄稿者 小川正人(おがわ・まさと) (一社)ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構理事長

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