【レビュー】『ショックス・オープンフィット(Shokz OpenFit)』で生活音と音楽が地続きになった!

周囲の雑音を抑えるノイズキャンセリング機能を持った、インナーイヤータイプのイヤホン。家やどこかで座って楽しむのは良いけれど、そのまま外出・移動すると、思わぬ危険が待っている。そんなポスト・ノイキャン時代の安全リスニングが可能な 『ショックス・オープンフィット(Shokz OpenFit)』 を使用してみた。

ポスト・ノイキャン時代の安全・快適ワイヤレスイヤホン

音楽をじっくり聴きたいときに、ノイズキャンセリング機能付きで、耳穴に挿入するタイプのカナル型イヤホンは非常に役立つ。その一方で耳をふさぐことで周囲の物音がカットされてしまうので、後ろから誰かに近づかれてもわからないし、路上、電車のホームなどの移動中に使うことは、とかく物騒な世の中ではあまり推奨されなくなってきている。

たとえばクルマや自転車がぶつかってきたとしても、気がつかないというリスクがあるのだ。

そうした危険を避けつつ、スポーツ時でも積極的に音楽を楽しめる、耳をふさがない骨伝導イヤホン「OPENRUN」シリーズで人気なのが フォーカルポイント/ Shokz 『ショックス・オープンフィット(Shokz OpenFit)』(ブラック/ベージュ・8.3g・税込24,880 円・2023年7月6日発売) は、鼓膜を通して聴く「通常のイヤホン」タイプの製品だ。

ただ近年主流の、耳穴にねじ込み密閉する「カナル型」をは異なり、『オープンフィット』は耳に装着しても耳穴をふさがないタイプの製品である。こうしたタイプの製品は、音漏れが激しく、外で使いにくいというイメージがある。しかしこの製品は、耳の距離・角度などを最適化して音漏れを減少させる独自技術「DirectPitch」を採用して、音漏れ対策を行っているのが特徴だ。

リスニング可能時間は、最大28時間。1日使えるタイプだ。

【使用感】耳にねじ込まないから違和感がない! ひたすら快適な『ショックス・オープンフィット』

『オープンフィット』の使用は、専用アプリのダウンロードから。その案内に従って、スマホなどとBluetooth接続を行うと、使用が可能になる。充電はUSB経由で、イヤホンは1 時間、チャージングケースは 2時間で満タンになる。

実際に装着すると、驚く。耳にかける部分、2層構造のリキッドシリコン(耳の形状を記憶する「ドルフィンアークイヤーフック」)というのが、非常に柔らかく、着けると着けていない感覚になる。最初のうちはきちんと装着できているのか、鏡で確認したくらいだ。

耳穴の上に装着するのだが、ギリギリ触れるか触れないかで、耳穴をふさぐことはない。当然耳穴にねじ込む不快感もないので、違和感がほぼない。8.3gという軽さもあるが、iPhoneの「ミュージックアプリ」で音を出すと、着けているのを思い出す、そのくらいのレベルだ。

最初は盛大に音漏れしているのではないかと、心配になった。それくらい自然な聴こえ方だったのだ。周囲の音もしっかり聞こえる。これで音が洩れていないのならマジックだ。

それで他の人間に着けてもらって確認したのだが、ほぼほぼ洩れていない。音量を上げても同じ。狐につままれてしまうが、これが独自技術の「DirectPitch」というものだ。イコライジング、耳への角度調整などを駆使して、音漏れを減少させているのだという。これはかなり高レベルのテクノロジーだと思う。

『ショックス・オープンフィット』は、どんな音楽に向いている?

イヤホンの装着感の良さ。その究極は、まるで着けていないように感じること。どんなに音が良くても、重い、違和感があるでは、長時間使い続けるのは難しい。

その点で『オープンフィット』は、かなり突き詰めてきた。ではイヤホン自体の音の性能はどうなのだろう。

音質は非常にフラットな印象だ。すっきりと鳴りが良く、適切に乾燥したアコースティックギターのような、自然で心地よい音が楽しめる。

専用アプリ「Shokz」でイコライザーの調整が可能で、好みの調整を保存しておくことも可能だが、結局のところ筆者は何もいじらないのが(DirectPitchまかせ)が良いように感じた。

筆者は長いこと音楽誌編集長を務めていたので、多種多様な音楽をたくさん聴いてきた。それぞれのジャンルの聴き方はある程度把握している。その上で、『オープンフィット』が向いている音楽ジャンルを考えてみた。

結論としては、重低音を脳髄まで響かせて楽しむメタル、ハードコア、一部のテクノ/ハウス以外なら、オールマイティーに自然な音を出してくれると思った。大音量よりも中音量で楽しめる、ジャズ、フュージョン、ソフトロック、ポップスなどは聴き疲れのしない、心地よい音鳴りで、かなり耳が幸せになる。

J-POP系統では、吐息の混じるタイプのウィスパリング・ヴォーカルで、アーティストと同空間にいるような感覚を味わえると思う。

中でもこの製品の本領発揮だなと思ったのは、チルなムードのインストゥルメンタル系の音楽。まさに自然の生活音に見事に溶け込んで、調和し、見ている景色が彩られるような感覚になったからだ。この生活音と地続きな印象で楽器が鳴るという体験が、『ショックス・オープンフィット』を使う最大のメリットではないかと思った。

なお、通話時のマイクはノイズキャンセリング機能が使用できる。

日本国内の主要家電量販店、イヤホン専門店、ライフスタイルショップなどで購入可能。

『オープンフィット』のスペック詳細等は、以下の記事に掲載している。
【イヤホン】『OpenFit』 耳をふさがず安全に、高音質サウンドが楽しめる

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