婚活サービス活況、成婚率7割迫る相談所も コロナ禍、家族の絆求める人増加? きめ細かなサービスで後押し

マリッジサロン・プリムラ代表の佐々木なつみさん=姫路市本町

 婚活支援が播磨地域でも活況だ。兵庫県姫路市では5年前に開業した結婚相談所が昨年、年間の成婚率約7割を達成。先月には同県太子町に国際結婚をサポートする相談所も誕生した。自由な行動を制限された新型コロナ禍を経て、家族の大切さを再認識した人らの結婚願望が高まっているといい、各相談所がきめ細かなサービスで出会いを後押しする。(三島大一郎)

### ■「おばちゃん役」徹し

 起業プラザひょうご姫路(姫路市本町)にオフィスを置く「MarriageSalon(マリッジサロン)プリムラ」。たつの市出身の佐々木なつみさん(34)が代表を務める。

 昔から自分の友人同士を引き合わせてカップルにしていたという佐々木さん。結婚して会社を辞め、長女が1歳になったタイミングで復職を検討した際、「やりたい事をやろう」と2018年4月に起業した。

 プリムラは、入会後に「仲人」の佐々木さんらと何度でも相談ができることを売りにする。料理を通じて交流を深める「お料理婚活」や、ごみ拾いをしながら婚活する「恋拾い」など多彩な催しも手がけている。

 会員には佐々木さんからもこまめに連絡を取る。不安を聞き出し、自分に自信を持ってもらう。話し方やコミュニケーションの取り方も指導する。佐々木さんは「会員が運命の人に出会うまでずっと寄り添う。おせっかいなおばちゃん役に徹してます」と笑う。

 現在の会員は約40人で、昨年の成婚率(退会者のうちの成婚者の割合)は66.6%。入会者の3人に2人が結婚まで至っており、加盟する全国結婚相談事業者連盟(大阪市)の中でも屈指の成婚率という。

 成婚後にフォローするのも特徴。夫婦向けに、互いの気持ちの伝え方やお金に対する考え方などを学ぶセミナーを開催。相談も受け付けている。

 佐々木さんは言う。「周りの人が幸せになると、自分も幸せな気持ちになる。私自身が一番笑顔でこの仕事を楽しんでいます」

### ■苦手意識を克服

 恋愛未経験、体重100キロ、低収入…。コンプレックスを抱えたまま婚活を始め、3年前に国際結婚した男性が先月、太子町に結婚相談所を開業した。

 「西はりまの結婚相談所シラノ」。代表の大谷鷹之さん(33)は小学生の頃から体重が100キロ前後あり、大学卒業後しばらくはニートだった。27歳の時に調理師免許を取得し仕事に就いたものの長続きせず、非正規職を転々とした。

 「それまでに付き合った女性は一人もいない。彼女がほしいとは思ったが、一歩が踏み出せなかった」と大谷さんは振り返る。

 ただその頃に婚活アプリを始めたことが転機となった。4年間利用し、ベトナム出身で介護福祉士のグェン・ティ・トゥイさん(31)と出会い、紆余(うよ)曲折はあったが、互いの価値観に引かれ合い結婚した。

 21年に長女虹湖(にこ)ちゃん(1)が誕生。その頃から、知り合いの外国人や独身の男性らから結婚についての相談を多く受けるようになった。長く婚活を続け、国際結婚をした自身の経験を仕事に生かそうと、結婚相談所をオープンさせた。

 「自分のようにコンプレックスを抱え、恋愛や結婚に不安を感じている人は多いと思う」と大谷さん。シラノは外国人向けのプランも用意しており「勇気を持って婚活ができるよう、日本人だけでなく、外国人の支援もしていきたい」と意気込んでいる。

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  民間シンクタンク「ブライダル総研」が昨年に実施した「婚活実態調査」によると、21年の婚姻者のうち、婚活サイトや結婚相談所などの婚活サービスを通じて結婚した人の割合は15.1%だった。

 コロナ禍前に比べて婚活サービスの利用は増加傾向にあるといい、担当者は「婚活においては、知人の紹介や見合いと比較して、婚活サイトや結婚相談所を利用したことによって結婚に至った人の割合が高くなっている」とした。

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