特別支援校 茨城・神栖市須田に開校へ 27年4月、通学時間短縮

茨城県は4日、同県神栖市に特別支援学校を設置し、2027年4月の開校を目指すと発表した。建設予定地は同市須田の市有地。これまで、鹿島特別支援学校(同県鹿嶋市沼尾)で学ぶ神栖市内の児童生徒は、最長40キロの距離を最大80分かけてバスで通学していたが、新設校の設置により通学距離が半分の20キロ、通学時間も40分に短縮される。大井川和彦知事が同日の定例記者会見で明らかにした。

県によると、設置するのは「神栖特別支援学校(仮称)」で、神栖市内に住む知的障害の児童生徒が対象。小学部60人、中学部40人、高等部50人の計150人を受け入れる。

設置の予算規模は約40億円で、9月補正予算案に設計費を計上する。敷地は約2ヘクタールで、校舎約7200平方メートル、体育館約1075平方メートル。23、24年で設計をまとめ、25年から約2年間かけて建設工事を行う。

県教委特別支援教育課によると、鹿島特別支援学校は5月1日現在、356人が在籍し、規模はつくば特別支援学校に次ぐ県内2番目となっている。神栖市からは、鹿行地域5市の中で最も多い約130人が通学し、同市の南端にある波崎地区からの通学距離は最長40キロと長く、長時間の通学が課題となっていた。

大井川知事は「新たな学校で利便性を劇的に向上させ、伸び伸びと学んでいただける環境を実現したい」と整備に意欲を示した。石田進神栖市長は「障害のある児童生徒のニーズに応じた教育環境の充実を図りたい」とコメントした。

同市の保護者らでつくる「神栖市に特別支援学校を求める会」は5月、大井川知事と森作宜民県教育長に対し、特別支援学校の新設を求める署名9939筆分と要望書を提出していた。同会の中谷みずほ代表は「ほっとした気持ち。保護者や子どもたちの通学負担が少なくなる」とし、「さまざまな意見を取り入れて、みんなが必要と思える学校を造ってほしい」と期待した。

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