難病治療研究へ、指揮者佐渡裕さん演奏会で寄付訴え FOPと闘う山本さん親子来場、ボランティアらと募金活動

ロビーで来場者に寄付を呼びかける山本育海さん(左手前)と隣に立つ母智子さん=明石市中崎1

 指揮者佐渡裕さん率いる兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)の公演が2日夜、兵庫県明石市立市民会館で開かれた。客席には、筋肉が骨に変わる病気「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」と闘う市内在住の山本育海さん(25)がコロナ禍を経て4年ぶりに訪れ、会場で治療研究費への寄付を募った。(領五菜月、松本寿美子)

 佐渡さんは開演前のトークで「FOPは薬もない超難病。山中伸弥さん(京都大iPS細胞研究所名誉所長)と出会い、僕も微力ながら応援してきた」と語った。客席の山本さんと母智子さん(49)を来場者約900人に紹介し「山本君は同じ病気の人みんなのために研究を進めようと活動している」と話し、寄付への協力を呼びかけた。

 山本さん親子はボランティアと共に、曲間の休憩や終演後にロビーに立ち寄付を呼びかけた。ワクチンを打てない山本さんはコロナ禍、極力外出を控えた。「悲しかった。正直まだ外出するのは怖い。自分に間に合わなくてもいいから、治療薬が少しでも早く見つかってほしい」と話した。

 公演では、ブラームス作曲の交響曲2番などが演奏され、山本さんは「やっぱり佐渡さんはすごい」とほほ笑んだ。智子さんは「自分も育海も新型コロナウイルスに感染しないよう、ものすごく神経を使い、家から出ないことを徹底した日々だった。佐渡さんや市の協力、寄付してくださる人々の気持ちが本当にありがたい」と話していた。

 寄付の振込先はゆうちょ銀行の記号14370、番号81080231、口座名義「FOP明石(エフオーピーアカシ)」。全て京都大iPS細胞研究所に送られる。

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