カヌー世界選手権に出場する水本さんにインタビュー 2大会連続五輪出場へ大一番

パリ五輪を懸けた世界選手権に向けて「かなりいい勝負ができるのではないか」と意気込む水本(チョープロ)=西彼長与町、チョープロ

 カヌースプリントの水本圭治(チョープロ)が、パリ五輪の切符を懸けて今月23~27日にドイツ・デュイスブルクで行われる世界選手権のカヤックフォア500メートルに臨む。東京五輪に続く2大会連続出場を目指す35歳のベテランは「かなりいい勝負ができるのではないか」と手応えを持って大一番に挑む。以下、一問一答。

 -カヤックフォアは日本代表の顔触れが東京五輪から様変わりした。メンバー4人のうち、東京後も継続して入っているのは水本選手のみ。
 東京は4人全員が30代。現在は30代2人、20代2人に若返った。プレースタイルもガラッと変わって、前半からどんどん前に行けるようになった。強豪国と争うレースでは最初から積極的に行って、かつスピードを維持しないと先頭に立てない。まずは戦えるベースができている。

 -パリの切符を得るためには、世界選手権でアジアトップになる必要がある。勝算は。
 今年アジア大会の開催地となっている中国が、かなり力を入れている。事実上、中国との勝負。5月のワールドカップに出場した際は1秒ちょっと前を行かれた。ただ、当時の僕たちは4月に現メンバーになって間もないレースだった。スタミナ切れした後にうまくバランスを取れなかった。改善点ははっきりしている。修正できれば、かなりいい勝負ができるのではないか。

 -4人縦並びの先頭でパドルをこぐ重要な役割を担っている。
 後ろ3人が息を合わせやすいようにしっかりリズムを取ること、他のメンバーまで配慮したペース配分が求められる。レース中に後ろのメンバーを見ることはできない。その中でいかにコントロールするかは重要になる。

 -五輪経験者、チーム最年長者としてリーダー的な役割も求められる。
 4人で力を合わせる種目なので、相手に対してああやってほしい、こうやってほしいという要求は多分みんなある。一方、それぞれで自分の課題も十分に分かっていると思う。そこは仲間を信頼している。カヌーは体へのダメージが大きくて、単に練習ばかりしてもタイムが伸びるかというと、そう言い切れない部分もある。メンバーの体調や疲労に気を配って、無理させないようにとか、練習メニューを変えてみようかとか意見を出すのは意識している。個人的には、35歳の今でも肉体的にもまだまだいけるのかなと感じている。

 -メダルを目標に掲げた東京五輪は準決勝で7艇中7着という不本意な結果だった。
 4度目のチャレンジで初めて五輪に出場できて新しい景色が見えた一方、そこで力を発揮できなかった悔しさがある。だからこそ、まだカヌーをこぎたいという気持ちになった。パリ五輪は集大成。燃え尽きて終わりたいというくらいの気持ちで挑んでいる。

 -岩手県出身。2014年長崎がんばらんば国体に向けて12年4月に長崎県スポーツ専門員として招かれ、17年に県内企業のチョープロへ入社した。長崎と縁ができて10年以上が経過した。
 岩手にいる時間に近いくらい長崎にいる。第2の故郷になった。長崎に来てから自分の競技力も向上して、五輪出場という目標をかなえさせてもらったので感謝しかない。いい結果で喜んでもらえるように、また頑張る。

【略歴】みずもと・けいじ 岩手県出身。不来方高1年でカヌーを始め、3年時のインターハイで4冠を達成した。2010年広州アジア大会カヤックペア200メートルで優勝。男子カヤックフォア500メートルで21年東京五輪に出場し、今年9月の杭州アジア大会代表にも選ばれている。12年に長崎県スポーツ専門員、17年からチョープロ所属。176センチ、87キロ。35歳。

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