茨城・つくば市、自宅前で投票 24年市長選から実施 高齢者ら想定

茨城県つくば市は、自宅の前で期日前投票できる「オンデマンド型移動投票所」を導入することを決めた。投票所に行くことが難しい高齢者や障害者などを想定し、2024年の市長選と市議選で行う。政府に提案し、実施可能とする回答を得たことが4日、分かった。電話やインターネットで予約を受け、投票箱を乗せた専用車両が巡回することで、投票率の低迷に歯止めをかけたい考え。今後、具体的な方法を構築する。

オンデマンド型移動投票所は、投票所までの移動が難しい高齢者や障害者などの利用を想定する。事前にスマートフォンのアプリや電話から日時、場所を指定することで、自宅前などでの投票が可能となる。

車両には立会人が乗り込み、通常と同様に投票を見守る。自宅前に駐車スペースがない場合は、移動支援車で対応する。今後は導入する車両や地域、詳しい予約方法を検討する。

市は22年、国の国家戦略特区「スーパーサイエンスシティ構想」の指定を受けた。これまでにインターネット模擬選挙を行うなど、自宅から投票できる仕組みの確立を目指している。

移動投票所の設置は、現行の公職選挙法でも可能だが、投票所の場所は事前に告示しなければならない。特区の同市は場所の告示に当たり、プライバシー保護の観点などから個人名や住所の一部を省略する。

県内自治体でスーパーや公共施設を巡る移動投票所を導入しているケースはあるが、同市では投票者が指定する自宅前などへの巡回が可能となる。

前回20年のつくば市長選の投票率は51.60%で過去最低だった。市によると、年代ごとの投票率は70代は6割を超えたが、80代は4割と低迷した。高齢者からは「移動手段がない」「体調が心配で行けない」などの声が出された。自宅の前や指定場所に移動期日前投票所を設置することで、投票率低下の歯止めをかけたい考え。

市科学技術戦略課の担当者は「まず(投票方法の)選択肢をつくることが大切だ。今回の取り組みを第一歩としたい」と話した。

© 株式会社茨城新聞社