かつて快足を武器に日本代表としてもプレーした岡野雅行さん。
野人と呼ばれた同氏には伝説的エピソードがいくつもあるが、鈴木啓太さんのYoutubeに出演すると様々な秘話を明かしていた。
神奈川県出身の岡野さんだが、県内で行ける高校がなかったため、島根県の松江日本大学高校（現立正大学淞南高校）へ進学。ちなみに、中学時点では慶應義塾からサッカー推薦で入学の誘いがあったそう。
だが、高校の入学式は特攻服だらけだったそうで、全国からヤンキーの“エリート”たちが集結する学校だと気付いたそう。
実質、サッカー部は存在せず、2年の先輩ひとりだけしかいなっため、自ら勧誘して20人ほどの部員が集結。ただ、経験者もいた一方、「ボールではなく人しか蹴ったことない」人ばかりだったとか。
岡野さんは監督兼選手兼キャプテンとして、基礎から教えると、サッカーの面白さに気付いたようで練習は熱心にやってくれたという。
練習試合の相手探しでは断られ続けたが、一校だけ応じてくれたので、喜んで行ってみたら、「絵に描いたような不良校」だったとか…。
スプレーで落書きされ、ガラスは割れている『クローズZERO』の鈴蘭高校のような学校だったそう。
岡野さんは相手校に入るのも怖かったものの、先輩たちは試合ができることに嬉しそうだったとのこと。ただ、相手は制服のまま試合に臨んできたそうで…。
「え！？制服で？と思うじゃない。そしたら、スパイクは履いてるんだよね。（それなら）まぁいいか、と。
嫌な予感しかしないじゃない、最初から。向こうはこんなんだし（ガンを飛ばしてオラつく）。
（試合開始の笛が）ピーって鳴った瞬間に先輩がガガガガガって走って行くわけよ。バコーン！って飛び蹴りしてさ。オラー！って始まるのよ、大乱闘ですよ、そりゃ。
（相手の学校は）授業しているからブワっーって降りてくる。『おりゃー、何やっとんじゃー！』って。
俺はビビって立ち竦んでたけどさ、さすがだよね、全国から素晴らしい（ヤンキーの）エリートが来てるわけじゃん。まぁ強ぇ…まぁ強ぇ！
向こうも、えぇマジかよ…みたいになるから、それで勝ったぞ！って言い始めて。
パッと見たら、ボールは一個も動いていない。キックオフのボールがまったく動いていない。
1試合目がそれ。
だけど、俺は学校に帰った時に涙が出てきてさ。こんなんじゃないです、サッカーは、と。
もう俺やめますって言ったの。学校もやめるしって言ったの、先輩に。そしたら、呼び出し食らったの、次の日。これはヤバいと…」
「おめぇが作るって言ったから入ってやったんじゃねぇかみたいなことを言われるのかと思ったら…申し訳なかったってなって。ごめん！と。二度としないから、もう一回サッカーを教えてくれと。
分かりましたと言ったら、みんな一生懸命やってくれるようになって。
練習試合でもバーンって当てられて、（殴ろうと拳が）ここまで行くんだけど耐えて。
初めてまともにみなさんがやってくれた1試合目が22-0だもん、負けた。いまでも覚えている。そりゃそうだよね、相手はみんな小学校からやってるわけだから。
22-0で負けて、次が15-0だったかな、それが10-0になってくる。8-0、5-0、2-0、0-0になった！その時はみんなで大泣き…大会でも何でもないんだよ（笑）。
すんごいのよ、根性あるからさ。すごく上手くなるスピードが速い。
何言っても絶対に断らないし。走りの練習でも絶対に最後までどんだけ辛くても走り抜くし。
本当に夜ボールが見えなくなるまで、みんなボール蹴ってるのよ。
すんごい上手くなって、1年目の最後の新人戦はベスト4だもん、県で。漫画でしょ、漫画のような話」
ワールドカップにまで出場した日本代表経験者でここまでのエピソードを持っている人はなかなかいないかもしれない。
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なんでも、2年生になると顧問の先生が来てくれて、学校もサッカー部のための寮を作ってくれるまでになったそう。
