町長の辞任届も偽造…元小鹿野町職員に有罪判決 地域商社めぐり虚偽の登記 「巧妙で悪質」も反省など考慮

小鹿野町役場=埼玉県小鹿野町小鹿野

 埼玉県小鹿野町の職員が町設立の地域商社の代表に就いたと偽り登記手続きをしたとして、有印私文書偽造・同行使などの罪に問われた元町職員、中野克被告(57)の判決公判が4日、さいたま地裁秩父支部で開かれた。溝口達裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。

 判決理由で溝口裁判官は、文書を偽造し法務局に提出したことを「巧妙で悪質」と指摘する一方、中野被告が罪を認めて反省し、懲戒免職処分の制裁を受けている点などから、社会内での更生が相当とした。

 町などによると、中野被告は昨年3月、「地域プロジェクトマネジャー」として町会計年度任用職員に採用され、業務実績が認められれば約1年後に町設立の観光事業関連会社「地域商社おがの」の代表取締役に就く予定だった。しかし同年6月ごろ、すでに就任しているかのように装い、代表取締役を務めていた森真太郎町長の辞任届や臨時株主総会議事録などを偽造し、さいたま地方法務局に提出していた。町は同年9月に刑事告発した。

 7月26日に行われた初公判で、中野被告は起訴事実を認め、弁護側は執行猶予付きの判決を求めていた。

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