鈴鹿8耐:唯一の女性ライダー平野ルナ、マシントラブルで予選は不完全燃焼「自己ベスト更新を狙っていたので悔しい」

 三重県の鈴鹿サーキットで開催中の『2023 FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第44回大会』で、金曜日と土曜日の2日間に渡って予選が行われた。唯一の女性ライダーとして鈴鹿8耐に参戦している平野ルナ(Dr.Dry Racing TMR with ACE CAFE)が、予選を終えての振り返りと決勝レースに向けての展望を語った。

 金曜日から本格的な走行がスタートした鈴鹿8耐だが、朝は8月2日に鈴鹿サーキット主催として行われたテストのセッション6からスタートした。このセッション中、平野は早々にチームメイトで第一ライダーを務める大石正彦から、マシンを乗り継いで走行を重ねた。しかし1時間ほど経過した頃、平野がバトンを渡した第3ライダーの梶山知輝が早々に逆バンクで転倒を喫してしまう。

 その影響でマシンは大きなダメージを負ってしまい、スタッフたちによって懸命な修復作業が行われた。修復が間に合うも、予選1回目で平野と梶山はアタックできず、ふたりとチームにとっても不完全燃焼な結果となってしまった。

「少し悔しいというのはありますね。自分の中では予選をメインにしていたところもあり、自己ベスト更新を狙って行こうと思っていたので、トラブルは仕方ないですが、悔しいです」と平野は予選1回目での悔しさを語った。

平野ルナ(Dr.Dry Racing TMR with ACE CAFE)/2023鈴鹿8耐

「ナイトセッションは絶対に走らせないといけない規定があったので、1周走らせるためにメインカーとTカー(テストカー)から使える部品の寄せ集めで(マシンを)作って走りました。その後また一からバラバラにして、チームが静岡から持ってきた部品と使える部品を組み込みました。マシンの完成系に持っていくまで、今日の朝までかかってしまいました」

 懸命な修復作業で、土曜日の予選2回目には間に合ったが、走らせることができるのはメインカーの1台のみとなる。そのため、ライダーたちにはリスクを避ける走りが要求されたという。第2ライダーを務める平野は、予選2回目では3度のアタックを試みた。このセッションで自己ベストを2分15秒566に更新すると、すぐにピットインを余儀なくされてしまった。

「カットラインが2分15秒後半ぐらいだったので、1回だけタイムを出して戻り、第3ライダーにバイクを渡すという感じでした。セッティングができていないなか、それ以上のタイムアップは冒険になってしまうので、転倒するリスクを負うよりは、次にバトンを繋いで明日の決勝を走ることを優先しました」

 事前の7月に行われた合同テストの際には、女性ならではの悩みを抱えながらも「本戦では2分11秒台に入ることが目標です。絶対に11秒台を出して、女性でもここまで出来るんだぞ! と積極的にチャレンジしていきたいです」と語っていた。

平野ルナ(Dr.Dry Racing TMR with ACE CAFE)/2023鈴鹿8耐

 そのため、予選では思うようなアタックができず、悔しさが残る結果となってしまった。しかし、Dr.Dry Racing TMR with ACE CAFEは47番手で予選を通過しており、決勝では後方からの追い上げを図る。

 平野は「予選はなかなか満足いくものではなく、決勝レースも雨予報で少し不安がありますが、8時間しっかり戦い、安全と完走を第一に頑張りたいです。去年のフィニッシュが22位だったので、それ以上の順位を狙い、ノートラブルで転倒なくチェッカーを受けたいです」と意気込みを語った。

 決勝レースでは、鈴鹿8耐で3度目の完走を目指すとともに、唯一の女性ライダーとして切磋琢磨する彼女の走りに注目したい。

© 株式会社三栄