山内英輝、最多ポールポジション記録更新はならずも「簡単ではないからこそ価値がある」

 8月5日、静岡県の富士スピードウェイでスーパーGT第4戦富士の公式予選が行われたが、GT300クラスでは、山内英輝がアタックを担当したSUBARU BRZ R&D SPORTは1分36秒701というタイムを記録するも、グッドスマイル 初音ミク AMGの谷口信輝が記録した1分36秒395には届かず。歴代最多となるポールポジション獲得記録更新はならなかった。

 山内は6月に鈴鹿サーキットで行われた第3戦で、通算13回目のポールポジションを獲得。記録を13回に伸ばし、これまで高木真一と佐々木孝太がもっていた歴代最多ポールポジション記録に並んだ。SUBARU BRZ R&D SPORTという車両の特性上、レースで勝ち抜くためには予選で前に出ることが重要で、山内の記録はその特性を十分に活かしたものだが、2021年、2022年と4回ずつのポールを獲得しており、2023年はシーズン開幕前から「記録更新を今年中に成し遂げたいですし、誰にも抜かれない記録を自分自身で作り上げていきたい」と早めの14回目のポールを狙っていた。

 今回の第4戦富士では、公式練習では「今回良かれと思って変えてきたものがあまり良くなかった」とバランスに苦戦。途中、井口卓人のドライブ中に6速にスタックしてしまうトラブルに見舞われるなど走行時間が削られてしまったが、それでも予選に向けて調整を進め、Q1のB組で井口が2番手に。記録更新に向けた期待を大いに高めた。しかし、Q2では終盤に1分36秒701までタイムを縮めるも、6年ぶりのポールとなったグッドスマイル 初音ミク AMGの谷口に阻まれ、記録更新はならなかった。

 谷口のタイムについて聞くと、「速かったですね。こういう言い方は良くないかもしれませんが、皆さんあの年齢ですごいですよね。僕も頑張りますよ。負けてる場合じゃないです!」と山内は言う。ちなみに、手元で調べた範囲で正確ではないかもしれないが、おそらく谷口の今回のポールポジションは、スーパーGTに名称が変わってからの最年長ポールポジション(52歳)ではないかと推測される。

 そんな名手を相手に、今回は残念ながら記録更新はならずだった。これまでのペースならば、すぐにでも更新できそうだった記録に惜しくも届かなかったことを聞くと「それは悔しいですよ。でも、そんな簡単じゃないです」と山内は言う。

「簡単ではないからこそ、それだけの価値があると思っています。みんなが一生懸命戦っているなかで駆け引きして、コンマ数秒の差で勝つか、負けるかが決まる戦いをやっていますから。地道に頑張りたいですし、日々精進していくだけです」

 迎える8月6日の決勝に向けては雨の予報も出ているが、「第1戦岡山で言うと、レインタイヤの差を正直感じているので、それがどれくらい向上できているかがカギ」だと山内は語った。次なるポールポジションも重要だが、やはり山内、そしてチームメイトの井口が望むのは決勝での結果。多くのスバルファンが声援を送るだろう決勝で、SUBARU BRZ R&D SPORTはどんな戦いをみせるだろうか。

2023スーパーGT第4戦富士 山内英輝と井口卓人

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