小さな“キャンパス“に描くぬくもり 芸能人の似顔絵モチーフの絵手紙が話題 那覇の赤嶺さん

 【那覇】琉球新報「美ら島だより」の絵手紙欄で7月9日に掲載された、赤嶺幸喜さん(78)=沖縄県那覇市=の人物をモチーフにした作品が話題になっている。芸能人らを絵手紙のテーマにするのは県内では赤嶺さんのみ。「一語一絵」をモットーに、その作品数は230人余にも上る。絵手紙のテーマはほとんどが四季折々の花鳥風月、身近な食材、暮らしの風景。その中で似顔絵の絵手紙は新鮮なジャンルとして注目されている。

 人物の絵手紙はタレント、俳優、歌手、芸人、スポーツ選手、政治家まで幅が広く、何よりも似顔絵の腕前はプロ級だ。赤嶺さんは「それぞれが素晴らしい人生観を持っており触発されている」と話す。自身の名刺は「赤ひげ」の一語を添えて作製するユーモアも。全国の絵手紙協会の会員30人とも交流する。「写真を送り、似顔絵の絵手紙を描いてほしいと要望されることもある」と表情を緩めた。交流相手に毎月送る絵手紙は常に仕上げている。

 赤嶺さんは20年前、沖縄絵手紙協会(新垣淑明会長)の前身の「沖縄郵政クラブ」の初代会長、桑江良憲さん=2020年逝去=と結成に奔走した1人。「桑江さんの指導で今の自分がある。恩人です」と振り返る。

 絵手紙人生を示すように、この間の活動記録と膨大な作品をファイリングし、書斎はまるでミニ絵手紙博物館のようだ。

 三線古典音楽の師範、空手師範、賞状などを書く一級揮毫(きごう)教授免許を持つなど、文武両道の人生を歩んでいる。絵手紙の魅力について「小さいはがきだが、胸を熱くするぬくもりがある。日々向上心です」ときっぱり。

 新垣会長は「気軽に楽しめる絵手紙文化。男性会員は10人足らずで少ない。赤嶺さんの心意気に触れて会員が増えることを願っている」と赤嶺さんの足跡を称賛している。

(岸本健通信員)

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