「高岡発ニッポン再興」その92 米粉がおいしくなった!食糧安保も追い風

出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・食料安全保障の観点からも、米粉が再び注目されている。

・自治体は米粉普及のために、学校給食にもっと米粉を使うべき。

・米粉は、食のさまざまな課題を解決する力を持っている。

食料自給率38%。ウクライナ危機による小麦価格の高騰。一方、コメに関しては、コメ余りで、価格は下落気味。小麦は大半が輸入されていますが、コメはほぼ国産です。不安定な外国産品頼りより、やはり国産を食べたほうがいい。

食料安全保障の観点からも、米粉が再び注目されています。米粉パンってうまくないというイメージがありましたが、それが一変しました。私は大阪府八尾市にある西村機械製作所で、米粉パンを食べたのです。美味しかったです。シフォンケーキもふんわりとして、軽い感じです。カロリーも低そうで、ヘルシーな味わい。カヌレも程よくしっとりしていました。

この会社はパン屋やケーキ屋ではありません。知る人ぞ知る、米粉をつくるための機械を製造しているメーカーです。パン屋やケーキ屋、さらには製粉会社に、機械を納入しているのです。

米粉でいろいろな料理ができます。小麦粉に代わる食材になるのです。パスタやお好み焼き、さらにはてんぷらやから揚げの衣にも使うことができます。米粉は、小麦粉に比べ油の吸収率が低く、フライ料理にすると、さっぱりとしたヘルシーな味になります。

米粉が脚光を浴びるもう一つ大事なキーワードがあります。「グルテンフリー」です。小麦粉にはグルテンというたんぱく質が入っています。

パンや麺類にはグルテンが入っていますが、「グルテンフリー」を実践すれば、健康や美容にいいと言われ、欧米で大ブームなのです。火付け役は、テニスのジョコビッチ選手です。

「グルテンフリー」の食事法に変えたところ、体調が良くなり、世界ランキング1位を獲得したというのです。このため、世界では、グルテンフリー市場は急拡大しています。

日本を旅行する欧米のセレブたちは「日本食を食べ歩いていれば、グルテンフリーでいける」と喜んでいるそうです。また、日本政府も、米粉の使用を増やすため、補助金をつくっています。パンやお菓子など商品の開発のほか、米粉製造機械の購入への補助です。

平成4年度は補正で140億円がつきました。大手食品メーカーやコンビニなどでも、米粉に関心を持つようになっています。米粉には追い風が吹いていますが、西村機械製作所の西村元樹社長は「やはり大事なのは、米粉を使った商品の味が良くなることです」と語っています。私は試食してみて、十分に小麦粉のパンと対抗できるようになったと感じました。

私は自治体として米粉普及のために、学校給食にもっと米粉を使うべきだと考えています。高岡市では現在、給食で年に8回、米粉入りパンを出しています。これはあくまで米粉入りで、米粉50%、小麦粉50%です。もっと回数を増やし、米粉100%のパン給食を実施しても、大丈夫だと考えます。

また、新潟県では、食料自給率の向上を目指して輸入小麦の10%以上を国産米粉に置き換える運動、にいがた発「R10プロジェクト」を全国に向けて発信しています。Rというのは、「Rice」の意味です。米粉は、日本人の食のさまざまな課題を解決する力を持っています。

(つづく)

トップ写真:米粉で作ったパンやケーキ(執筆者提供)

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