弘南鉄道大鰐線(青森県)で列車脱線 けが人なし、全区間運休

弘南鉄道大鰐線で脱線した中央弘前駅行きの下り列車=6日午後4時半ごろ、大鰐町宿川原

 6日午前11時半ごろ、弘南鉄道大鰐線の大鰐-宿川原間で、大鰐駅発中央弘前駅行きの下り列車(2両編成)が脱線した。当時車内にいた運転士1人と乗客18人にけがはなかった。原因は調査中。同線は7日も全区間で運休する予定で、再開の見通しは立っていない。

 国の運輸安全委員会は鉄道事故調査官2人を現地に派遣し、7日朝から現場で詳しい状況や原因を調べる。

 弘南鉄道によると、列車は午前11時半に大鰐駅を出発。約2分後、運転士が衝撃に気づき停車、外に出たところ進行方向の左側に脱線したことが分かった。脱線したのは2両目の前方の車輪。左右どちらから外れたかは分かっていない。当時の速度は時速20~25キロほどだった。

 同社は脱線した列車の乗客をタクシーなどで振り替え輸送した。6日は脱線した列車を含め上下計20本が運休した。現場は緩い右カーブで、大鰐駅から550メートル、宿川原駅から200メートルの地点。

 脱線した列車は車内に金魚ねぷたを多数飾った「金魚ねぷた列車」だった。

 同社の船越信哉取締役常務は「日頃より安全運輸を第一に運行してきたが、このような事故になってしまい大変申し訳ない。調査が終了次第、早急に復旧するよう努める」とコメントした。

 弘南鉄道の利用促進を進める弘前市地域交通課の担当者は「乗客を安全に輸送するため市が支援計画を策定し、枕木の交換など修繕を後押ししてきた。ただ結果として事故が起きてしまったので、安全面の課題を洗い出したい」と話した。

 弘南鉄道では2007年6月に弘南線(弘前-黒石)で、19年4月には大鰐線で脱線事故が発生している。

 国の報告書によると、07年の事故は列車の通過途中に指令員がポイントを切り替えた人為ミスが原因。19年は枕木やレールの接続状態の不良が連続し、レールの幅が広がる「軌間拡大」が事故を引き起こした。

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