雪辱を果たしたNiterra Z高星「千代選手が僕のクルマでコーナーを見に行ってくれた」【第4戦GT500決勝会見】

 静岡県の富士スピードウェイで開催された2023スーパーGT第4戦『FUJI GT 450km RACE』。8月6日の午後に行われた決勝レースを終え、GT500クラスで優勝を飾ったNiterra MOTUL Zの千代勝正と高星明誠が決勝を振り返り、次戦への展望を語った。

千代勝正/第1、第2スティント担当

「前回の鈴鹿では、記者会見をした後に色々あって4位という結果で終わりました。ですが今回は、チームのみんなもしっかりと実力で勝つために準備をしてきました」

「予選からいいパフォーマンスが出せたのもミシュランタイヤやチームのみんなのおかげだと思います。前半は、ウエットのなかでリードを築けたのですけれども、結構ドライアップ(路面が乾くこと)が早くて、タイヤを労りながら走りました」

「天気が読めないなかで、スリックタイヤに換えるタイミングが少し遅れてしまったのですが、その後の天候にも恵まれ、後半の高星選手も素晴らしい走りをしてくれました」

「チームの底力とミシュランタイヤのパフォーマンスを証明できたので、本当に良かったです」

「かなり重くなりますし、燃リス(燃料リストリクター)も入るのでもう、雨乞いしたいですね(笑)雨が降ったらミシュランタイヤは本当に頼もしいので、雨にも期待しつつ、チームみんなでいい仕事をして、最後に笑えるように頑張りたいです」

2023スーパーGT第4戦富士 千代勝正(Niterra MOTUL Z)

高星明誠/第3スティント担当

「(優勝することができて)素直に嬉しいです。前回の結果には、自分たちも思うところもありますが、すべてを飲み込んで歯を食いしばって2カ月間耐えてきたので、チームのみんなも嬉しく思っているんじゃないかなと思います」

「レースは、千代選手が長いスティントを走ってくれて、そこでいいポジションをキープしてくれました。赤旗中断時には雨が降ってきてタイヤ選択が悩ましかったのですが、結果的には良い選択ができ、最後までレインタイヤがもってくれました」

「ミシュランタイヤと3号車の、ドライとウエット両方のパフォーマンスを示しせたと思うので、強いレースができたと思います」

「シーズンが半分終わって、ポイントも多く獲れたのでチャンピオンを意識せざるを得ないと思います。なので、1ポイントでも2ポイントでも積み重ねられるように、今までやってきたことと同じことをやっていけたらいいなというふうに思います」

■勝因は「千代選手がBコーナーまで見に行ってくれたから」と高星

 また、記者からの「勝利へのキーポイントは」といった質問には、高星が率先して答える場面があった。

「それは僕が答えます。赤旗の時にタイヤ交換ができるという状況で、僕らはタイヤを交換したんですね。その理由というのは、千代選手がBコーナー(ダンロップコーナー)まで僕のクルマ(高星の所有車)に乗って見に行ってくれたからなんです」

「『ここはこれだけ乾いているから、こっちのタイヤがいいんじゃないか』と教えてくれて良いタイヤを選択できました」

 さらに千代が加えて、「実は、作業ができなくなる2分前まで違うタイヤを履いていました。それはフルウエット寄りのタイヤで、最後まで走り切れない可能性が高い」と考えていたと語る。

「風がダンロップコーナー側から吹いていたのですが、ピットにいると建物があってその先の雲が見えないんです。ドライバーの立場である僕がコース脇に出て、『晴れてるから大丈夫、換えよう』と伝えました」

 第3戦鈴鹿の雪辱を晴らすべく臨んだ今回の第4戦。雨中の抜群の速さで勝ち取った優勝の裏側には、マシンを降りた後もコースサイドに出て天気を読み切った千代の貢献があった。

2023スーパーGT第4戦富士 高星明誠(Niterra MOTUL Z)

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