北井「原点」富山で2着 カターレから転身、ファン沸かす 競輪・瑞峰立山賞決勝、優勝は郡司

決勝で力走する北井選手(右)と優勝した郡司選手(中央)=富山競輪場

 富山競輪開設72周年記念の瑞峰立山賞争奪戦(GⅢ)は6日、富山市の富山競輪場で最終日を迎え、サッカーJ3・カターレ富山の元MFで競輪に転向した北井佑季選手(S級1班、神奈川)が決勝レースで2着に入った。デビュー3年目の33歳は初日から3日目まで1着をキープし、決勝の舞台へ。最高クラスのS級S班が3人いる中、競輪と出合った「原点」の地で粘り強い走りを見せた。

 優勝が懸かった最後のレース。北井選手は同じ神奈川所属の郡司浩平選手と組む「南関(なんかん)ライン」に、福島の佐藤慎太郎選手を加え、先頭で前受けとなった。残り2周半で眞杉匠選手(栃木)が前をうかがったが、北井選手は突っ張ってそのまま先行し、逃げにかかった。最後の直線で番手の郡司選手に差し切られるも、神奈川勢でワンツーフィニッシュを決めた。

 体力を消耗する前受けに徹し、レース後は疲れ切った表情を見せた北井選手。スタンドのファンからは「北井つえーぞ」とねぎらいの声が飛んだ。

 北井選手は2015~17年にカターレ富山でプレー。当時近くに住んでいた富山競輪場にふらりと足を運び、競輪に魅了されたという。19年にサッカー選手を引退後、競輪の道に進んだ。今では上から2番目のクラスであるS級1班まで上り詰め、今年2月には100勝を達成。今回の瑞峰立山賞争奪戦は初日から好調で、決勝までの3日間のレースは全て1着だった。

 「北井さんの強さが光ったレースです」。表彰式のインタビューで、優勝した郡司選手は感謝しきり。北井選手との連携に「戦える自信が深まった」と手応えを示した。

 カターレ時代からファンの富山市の女性(71)は、初日に北井選手が1着となり、験担ぎのために連日の炎天下でも同じ黒い服を4日間着続けて勝利を願ったという。女性は「元気をもらえました。また第2の故郷で活躍してほしい」と笑顔いっぱいだった。

 「北井に期待して車券を買いました。今後はカターレと富山競輪のコラボイベントがあればうれしい」。富山市の会社員男性(37)もファンの一人で、熱い声援を送り続けた。車券は外れたが、「最後の直線は夢を見ました。ヘロヘロになるほど頑張ってくれて感謝です」と力走をねぎらった。

  ●吉川第5レース2着

 地元の日本競輪選手会富山支部所属選手では、S級選抜の第5レースで吉川起也(富山)の2着が最高だった。

 場内では富山支部所属の下条未悠(射水市出身)、南儀拓海(氷見市出身)、村田祐樹(黒部市出身)、宮西令奈(加賀市出身)の4選手がトークショーに臨み、大勢のファンの前でさらなる成長を誓った。

表彰式でガッツポーズを見せる郡司選手
北井佑季選手

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