九州の土石流、複数発生し合流か 表層崩壊、専門家ら解明へ調査

福岡県久留米市田主丸町の土石流現場=4日

 九州北部の大雨で起きた土砂災害について、福岡県久留米市では複数の土石流が合流して大規模化したとみられることが7日、九州大の笠間清伸教授(防災地盤工学)らの調査で分かった。福岡、佐賀、大分で9人が犠牲になるなど各地で甚大な被害を出した大雨から10日で1カ月。有識者らは被害防止に向け、発生メカニズムの解明を急いでいる。

 笠間教授ら地盤工学会の調査団は7月17日、久留米市田主丸町の被災現場を訪れた。山沿いの渓流が上流部で東西二股に分かれ、双方向から土石流が合流して規模を拡大させたとみられる。西側の渓流の河道がより激しく損傷していたという。

 現場の土質は「泥質片岩」と呼ばれ、風化すると粘性が高まり表層崩壊しても動きにくい性質とされるが、笠間教授は「土石流化させるほど多量の雨が降ったためでは」と推測した。

 県が上流部に設置した砂防ダム3基の状態も確認。大規模な損傷はみられず、笠間教授は「それなりに機能は果たしたが、土砂量が想定より大きかった」とみる。

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