宇佐市の石干見保存団体が台湾でサミット参加 「各国と世界遺産目指したい」【大分県】

参加者は澎湖諸島の石干見を視察=台湾
是永修治市長(左から2人目)に世界石干見サミットへの参加報告をした長洲アーバンデザイン会議のメンバー=宇佐市役所

 【宇佐】宇佐市長洲で潮の干満差を利用した伝統的漁法「石干見(いしひみ)」の復元・保存活動に取り組む「長洲アーバンデザイン会議」(長浦善徳議長)は、台湾であった第7回世界石干見サミットに参加した。メンバー2人が各国の関係者と交流し、「周辺諸国と一緒に世界遺産を目指せたら」と夢を描いている。

 石干見は長洲地区では「石ひび」と呼ばれる。遠浅の海岸に石を積み上げて仕切り、潮が引いて石積みの内側に取り残された魚を捕る。かつては市内に40基ほどあり、昭和30年代ごろまで使われていたという。

 現在は波に洗われるなどして失われ、観光用に復元した1基があるのみ。2006年に発足した同会議が復元・保存に向けた活動を続けている。

 08年には第1回の石干見サミットを企画し、宇佐市で開催。サミットは以降、参加自治体などの持ち回りで定期的に開かれ、参加者は増えている。 

 初めての海外開催となった第7回は6月11~16日、台湾の澎湖(ぼうこ)諸島などであった。日本からは他に長崎県島原市、沖縄県石垣市、米国、フィリピンなど世界7カ国・地域の約400人が参加。石干見を研究する大学教授や各地域で活動する団体の代表らが各国の保存活動などについて情報交換した。

 同諸島には600基以上の石干見が現存。今も漁に使いながら観光資源として活用されている様子なども視察した。

 メンバーは7月上旬、是永修治宇佐市長に参加報告をした。

 同会議副議長の吉武裕子さん(62)=長洲=は「まずは宇佐市の文化財指定を目指す。将来的にはアジア、オセアニア一帯での世界遺産認定を目標にしたい」と話した。

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