在日外国人インフルエンサーがなぜ注目を集めているのか?

「海外からインフルエンサーを招聘するのと、在日インフルエンサーとの違いは何ですか?」という問いを企業、自治体、DMOからよくいただく。また、先日夜のニュース番組にも出演した際にも同じ質問を受けた。その際の回答としては「視聴者の質が違う」とお答えしている。今回は、在日外国人インフルエンサーの起用のメリットについてお話していく。

在日外国人インフルエンサー起用のメリット①

「日本の旅に親和性の高い人にリーチできる確率が高い」

インフルエンサー施策を成功させるためには、インフルエンサーの視聴者層と地域をマッチングさせることがポイントだ。例えば、同じ旅行をテーマとしたYouTuberがいたとしても高級路線で海外旅行をテーマにしているYouTuberと、定額フレンドリーな旅で国内旅行をメインにしているYouTuberとでは視聴者層が全く異なる。

同様に、旅に関連する動画をたくさん公開している世界的に有名なYouTuberもたくさんいる。一方で、彼らは日本の旅に関連する動画をどれだけ公開しているだろうか? 日本旅行をテーマとした投稿の本数としてはかなり限られているはずだ。仮に旅好きのファンを300万人抱えていたとしても、「日本の旅好きのファン」の数は相当少なくなるはずだ。

反対に在日外国人インフルエンサーの強みは「日本の旅行動画を公開し続けている」ことにある。つまり、日本好きであり、かつ日本の旅行に興味関心がある人、一度日本に行ったことがありリピーターとして、次は日本のどこにいこうか検討している人がフォロワーになっているのだ。

このように視聴者層の「質」が異なっており、在日外国人インフルエンサーのファン層の方が、より日本好きであり日本の情報を積極的に求めている。より、日本旅行に対する行動の角度が高い視聴者層であると言えるだろう。インフルエンサー施策を検討する際には提案されているYouTuberのチャンネルを確認し、日本の旅行をメインに配信しているのかどうかを確認することを推奨する。

在日外国人インフルエンサー起用のメリット②

「日本在住の外国人にもリーチすることができる」

突然ですが、皆さんは留学や異国の地に住んだ経験はあるだろうか? 筆者は大学の頃に留学に行ったのだが、当時はまだ情報が少なく、現地のエージェントやネットの掲示板を参考にして現地の情報を取得した記憶がある。

一方で、今はYouTubeからすべての情報を得られると言っても過言ではない。在日外国人の方もYouTubeにかなり接触している。最近の一番の衝撃は、オフィスからの帰り道で在日外国人の方から「Tokyo CreativeのCEOですよね?」と話しかけられたことだ。過去にTokyo CreativeのCEOの1日に密着という動画を見たことがあり、声をかけてくれたようだ。

このように、日本に関する動画を公開し続けているがゆえに、日本在住の外国人の方からもフォローが増える傾向にある。Tokyo Creative所属のYouTuberたちは、動画の内容によるが日本からの視聴者も多い。英語で日本の情報を発信しているため、日本在住の英語話者の方からも多数視聴されている。

在日外国人インフルエンサー起用のメリット③

「費用対効果が高い」

海外在住の外国人インフルエンサーを招へいしようとすると渡航費がかかってしまう。航空券と宿泊費だけでも25万円という費用感で同行者がいれば倍という費用感となる。なおかつ、昨今は円高の問題もあり費用がより多くかかってしまう現状である。

前述したが、在日外国人インフルエンサーの方が日本に興味関心があるファンにリーチできるため、1リーチ、1再生数の質が高い傾向にある。なんとなく興味本位で見ている視聴者と、買う気・来る気満々の視聴者の1リーチ、1再生数では重みが異なってくる。

招聘にかかる交通費、宿泊費の50万円をプラスで追加することによって、より在日外国人インフルエンサーでも地域に親和性の高い影響力のあるメンバーをアサインできる可能性が高まる。また、追加で1本動画を制作したり、Instagram等の別のプラットフォームを活用して発信できる可能性もある。

日本を知り尽くしている在日外国人インフルエンサーだからこそわかる日本の面白さ

在日外国人のインフルエンサーだからこそ見えてくる面白いコンテンツや切り口もたくさんある。今回は、8月11日は山の日ということで、山に関連するコンテンツを紹介したい。ロードトリップで富士山中湖の近くにあるヴィラに宿泊する新しい旅を提案した動画。インバウンド需要も戻ってきており、昨今は長期滞在がトレンドとなっており、より地方に足が伸びやすい土壌ができつつある。ロードトリップも長期滞在が主流になる中で注目されており、こういった需要と日本にいなければわからない楽しみ方までを提案した動画となっているのでぜひ見ていただきたい。

寄稿者 中川智博(なかがわ・ともひろ)Tokyo Creative㈱代表取締役

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