蝉川泰果をより良く縛るゴムバンド 「強制的に左に乗れるんです」

第2Rスタート前練習で、両脚にゴムバンドをつけて打つ蝉川泰果(撮影/服部謙二郎)

◇国内男子◇横浜ミナト チャンピオンシップ ~Fujiki Centennial~ 最終日(6日)◇横浜CC(神奈川)◇パー71(7231yd)

スタート前のドライビングレンジで、蝉川泰果が両脚をゴムバンドで挟んで打っていることをご存じだろうか。毎日ではないようだが、ときにキャディバッグから少し太めのゴムバンドを取り出し、足先から“履いて”ひざ付近に装着。両脚を縛って、内股にテンションがかかった状態で球を打つ。窮屈そうだが、そこまでテンションはきつくなさそう。両脚の間にボールを挟む選手はたまに見かけるが、ゴムバンドは珍しい。

切り返しで自然と体重が左に乗る(撮影/服部謙二郎)

予選ラウンド2日目の朝、蝉川は“ゴムバンド打ち”をして、「67」をマークし、42位から10位と優勝を狙える順位に浮上した。ホールアウト後にその効果を聞いてみた。「これをつけて打つと強制的に左にグッと乗れるんです」。体重移動の矯正器具として使っているようだ。「毎日やるわけじゃなくて、『なんか左に乗れていないな』という日につけてやっています。今日は特に状態が悪くて体が重かったので、朝の練習でつけてみました。やってよかったです」と効果があったようだ。

蝉川の解説は続く。「体重が右に乗ったあと、ゴムのテンションで左にグッともっていかれる感じになります。コレ、ひざも前に出ないし一石二鳥なんですよ」。東北福祉大3年時に大学のトレーナーから勧められて始めたというから、 “ゴムバンド歴”は長い。ゴムボールを両脚で挟んで内側にテンションをかける方法もあるが「挟むのはダメなんですよ。あれだと左に乗る感じは出ないですからね」という。「ボールだとバッグに入れてもかさばるし、膨らませるのも面倒じゃないですか。チューブなら、パッとつけてパッと打てるので楽チンです」と、意外と合理的なのだ。

テンションはきつすぎず、ゆるすぎず(撮影/服部謙二郎)

これって、我々アマチュアも真似できそうだが…。「普通にダイソーとかでも、似たようなの売っていると思います。選ぶときは“ちょっとだけきつめで、太め”のチューブのほうが動きやすいと思います。あまりきつすぎても動かないし、それなりのやつを選んでください」と、ポイントを教えてくれた。

スイングの原動力である下半身。特に蝉川の振りちぎるスイングには、下半身がダイナミックに動くというのが不可欠なのだろう。最終日は5アンダー「66」を出して、最後まで優勝した中島啓太を追い詰めた。毎度のように優勝争いに絡む背景には、こんな陰の地道な練習があるのだ。(横浜市保土ケ谷区/服部謙二郎)

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