「お墓はいらない」といっても死後どの程度お金がかかる?

200万円は必要といわれた葬儀費用。コロナ禍で葬儀のスタイルがだいぶ変わりました。死後の整理費用に、準備しておくべき資金、準備する方法を解説します。


葬儀にかかる費用はどのくらいかかるか

終活関連事業を営む鎌倉新書が行っている「第5回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかる費用の平均総額は約111万円(お布施は除く)となっています。2020年の前回調査では約184万円ですから、コロナ前後で葬儀にかかる費用は大きく変化していることがわかります。

葬儀の種類の割合の変化は下表のとおりです。

一般葬は、通夜、葬儀・告別式を行うお葬式で、知人・地域や職場など幅広い人たちが集まるお葬式です。家族葬は、一般葬と同様、通夜、葬儀・告別式を行いますが、参列者は、親族や近親者のみで行うコンパクトなお葬式です。一日葬は、通夜を行わず、告別式のみで行うお葬式。直葬・火葬式は、宗教儀式のない、火葬のみのお別れです。

近年、家族葬のみを行う小さなセレモニーホールをよく見かけるようになりました。一般葬から家族葬が増えたことで、葬儀にかかる費用が大きく減りました。葬儀社により葬儀費用は様々ですが、平均すると、一般葬84万円、家族葬67万円、一日葬53万円、直葬42万円といわれています。

葬儀費用プラス飲食代、香典の返礼品、お布施などを加えると、葬儀の種類により幅はありますが、100万円前後の費用は準備する必要があるでしょう。

葬儀以外にかかる整理費用とは

死後の整理費用として準備するのは、葬儀費用だけではありません。仏壇やお墓など、必要に応じて準備する必要があります。故人が「お墓はいらない」という意思表示をしている場合でも、自宅に簡易の仏壇は必要でしょう。墓石を作らない方法として、永代供養という方法もあります。集合墓・合祀墓など種類によっても違いますし、お寺によっても費用は様々ですが、10万~50万程度の費用は掛かるようです。

ひとり暮らしの方がなくなった場合、自宅の整理にお金が必要です。アパートの1DKでも、業者に頼むと10万円程度の費用は掛かります。一軒家を整理するとなるとなおさらです。その他、自動車ローンやクレジットカードの残債がある場合、精算が必要です。死後の整理費用として、200万程度の資金準備は必要ではないでしょうか。

整理資金の準備方法

一番確実な方法は、生命保険で準備する方法です。生命保険は死亡保険金受取人を指定することができますから、死後の整理をしてくれる人に確実に届けることができます。注意が必要なのは、結婚、離婚、退職などライフスタイルが変わる時、受取人変更を忘れないことです。確実に届いてしまうということは、離婚していても、変更していないと離婚した元配偶者に届いてしまいます。高齢となり、配偶者が認知になってしまった場合なども、実際手続きをしてくれる子どもや親族に変更しておかなければなりません。

保険に加入しようと思ったけれど、すでに持病を持っている場合は、緩和型保険に加入する方法もありますから、保険担当者に相談してみましょう。

参考記事:「持病があっても入れます」は本当? 緩和型保険でも加入できないケースとは?

預貯金を残しておくのも一つの方法です。ただし、死亡とともに口座の引出しができなくなる場合がありますので、要注意です。

葬儀社の積立で準備する方法もあります。月々2000円程度の掛金で積立を行い、積立金で葬儀費用の一部を負担してくれる仕組みです。会員になっていることで、割安なサービスを受けられるのがメリットです。ただし、葬儀を行うのは自分ではなく、別の親族になるわけですから、積立をしていることをきちんと伝えておくことが必要です。また、当初の予定と違い、別の葬儀社で執り行うことになった場合、積立金を引出すことはできますが、解約手数料を取られてしまうケースが多いようです。積立を始める前に、説明を聞き納得してから加入しましょう。

葬儀費用をおさえるには

冠婚葬祭の中でも、突然訪れる葬儀は事前に準備することが難しい儀式です。病気が原因の場合は、事前に故人と葬儀社を決めているケースもありますが、突然の事故や急病の場合、亡くなってから葬儀まで短時間で葬儀社の選定から葬儀のあれこれを決めていかなければなりません。初めての葬儀では戸惑うことも多いでしょう。葬儀のプロである葬儀社のアドバイスをきくことも必要かもしれませんが、任せてしまうのは費用がかさむ原因になりかねません。故人を手厚く送りたい気持ちはわかりますが、家族と相談し、あらかじめ支払える予算を提示し、葬儀社と相談しましょう。

地域によっては、斎場で葬儀も行える公共施設があります。公共施設になりますから、会場費は安く抑えられますし、火葬と葬儀を同じ場所で行うことで移動のコストを抑える事も可能です。お住まいの地域の斎場はどのような形なのか、調べておきましょう。新しくできた斎場にそのような形態の会場が多いようです。

高齢に限らず、自身の最後はいつ訪れるかわかりません。万一の際、葬儀はどこでどのように行って欲しいか、どのように埋葬してもらいたいか、費用の準備はどのようにしているか、などをエンディングノートに記載しておくことをお勧めします。故人の意思表示は葬儀の際、遺族の一番の助けになるでしょう。

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