兵庫の最低賃金、1001円に 41円引き上げは過去最大、審議会答申「消費者物価はさらに上がる」

兵庫県の最低賃金について議論した「兵庫地方最低賃金審議会」=兵庫労働局

 兵庫労働局長の諮問機関「兵庫地方最低賃金審議会」(会長=梅野巨利・大阪商業大学教授)は7日、2023年度の兵庫県内の最低賃金を現在より41円引き上げ、時給1001円とするよう同局長に答申した。過去最大の上昇幅で、物価高騰や地域格差の是正などを考慮して踏み込んだ賃上げが必要と判断された。

 10月1日から適用となれば20年連続の引き上げ。兵庫労働局が行った調査によると、県内の中小零細企業では労働者の約28%が賃上げ対象になると推定される。

 国の中央最低賃金審議会は7月下旬、経済状況に応じて都道府県を三つのランクに分けた上で、兵庫を含むランクは40円増の千円とする目安を示していた。

 兵庫の現在の最低賃金(時給960円)は、全国の加重平均額より1円低い。兵庫の審議会では、労働者側が物価高騰や地域格差解消に向け「49円引き上げ」を提案。使用者側は、資源高が経営を圧迫し企業の倒産も増えているとして「33円引き上げ」を主張した。

 最終的に中立的立場の学識者の委員が「消費者物価はさらに上がる見込み」などとして41円の案をまとめ、賛成多数で可決された。

 労働者側委員の堀井説也・電機連合兵庫地協事務局長は「国目安の1円増で決着したが、賃上げはまだ不十分」。使用者側委員の松岡直哉・県経営者協会労働政策部長は「原材料費などのコスト上昇分を価格転嫁するしかなく、社会もそれを受け入れなければならない」とした。(竜門和諒)

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