セーリング山本佑莉 パリ五輪狙う 世界選手権レーザーラジアル級

初の五輪出場を目指す山本佑莉=牛窓沖

 来年のパリ五輪の国別出場枠が懸かるセーリングの世界選手権(10日開幕・オランダ)に、瀬戸内市出身の山本佑莉(岡山県牛窓海洋スポーツ振興会)が1人乗りのレーザーラジアル級に出場する。牛窓ヨットハーバーを拠点に活動する28歳は大一番に向け「良い風を逃さず、力を出し切って上位に食い込む」と決意を語る。

 昨年11月の全日本選手権で4位に入り、日本代表(4人)に選ばれた山本は風や波の状況を読む力に優れる。3歳上の兄の影響で邑久高で競技を始め、強豪の日本経大では3歳から中学まで続けた体操で養った柔軟性と筋力も生かし、2人乗りの470級で学生女王に輝いた。

 大学卒業後は競技の盛んな鳥取県で働きながら東京五輪を目指したものの、夢はかなわず2020年末に帰岡。指導者に転身したが、選手への未練は断ち切れず、約半年間のブランクを経て現役に復帰した。パリを新たな目標に掲げて種目も470級からレーザーラジアル級に転向し、再スタートを切った。

 そんなセーラーを地元も後押しする。環太平洋大(岡山市)は21年秋から最新のトレーニング施設の提供やメンタルサポートなどで協力し、今年2月には国際大会の遠征費などを援助する後援会も立ち上がった。

 10日間で11レースを戦い、上位16位までに五輪の国別出場枠が与えられる世界選手権。ハードルは決して低くないが、「五輪出場は私一人の目標ではなくなった。全身全霊を尽くし、応援に報いたい」。夢のステージに立つため、最高の風をつかむ。

セーリングのパリ五輪日本代表選考 国別の出場枠が決まる世界選手権を皮切りに今秋の杭州アジア大会など日本連盟が指定した国際大会の成績に応じて選手に得点を付与し、その合計点で五輪代表を選ぶ。出場枠を獲得した場合はボーナス点がある。日本連盟の指定大会は来春まで続く。レーザーラジアル級の代表は1枠。

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