およそ5万人が参列した平和記念式典などで、焦点があたったのは、「核抑止」についての理想と現実です。
7日の平和公園…。原爆の日から1日たったこの日も慰霊碑には多くの人が訪れ祈りを捧げていました。
■岐阜県から来た男の子
「ここで何年か前に原爆があってどのようなことがあったのかっていうのをちょっと知りに来たくて行きたいってばあばに言いました」
■神奈川県から男性
「核兵器が一日も早くなくなればいいなと思うし(そのためには)日本がこうやって平和を世界に訴え続けていくことしかないのかなと思う」
■フランスから男性
「私は核兵器廃絶へと今の状況を変えたいがヨーロッパの現状を見ると核兵器廃絶を自信を持って言うことはできない」
78回目の原爆の日。およそ5万人が参列した平和記念式典。被爆地ヒロシマから繰り返し問われたのが「核抑止」をめぐる姿勢です。
■平和宣言 広島市 松井一実 市長
「核による威嚇を行う為政者がいるという現実を踏まえるならば世界中の指導者は核抑止論は破綻しているということを直視し私たちを厳しい現実から理想へと導くための具体的な取り組みを早急に始める必要があるのではないでしょうか」
■湯崎知事
「私はそのような核抑止論者に問いたい。核抑止が破綻した場合、全人類の命、場合によっては地球上の全ての生命に対し責任を負えるのですか核兵器は存在する限り人類滅亡の可能性をはらんでいるというのがまぎれもない現実です」
岸田総理と面会した被爆者団体。G7サミットで合意した「広島ビジョン」では「核抑止体制」からの脱却を示せていないと主張し、「核兵器禁止条約」への署名を強く求めました。
■県被団協 箕牧智之 理事長
「唯一の被爆国としてぜひとも(条約に)署名・批准をしてほしい。それができない場合でもオブザーバーとして参加してほしいこれは絶対的なお願いです」
しかし、岸田総理は条約に核保有国が参加していないとして、これまでどおり否定的な考えを示しました。
■岸田総理
「核兵器国が行動しないと、何も現実は変わらないというこの厳しい現実を前にして、核兵器国を核兵器禁止条約にどれだけ近づかせることができるか。これが具体的な取り組みとして求められるのであると思っています」
そして、「核抑止論」についても明確な説明はありませんでした。
目指すのは同じ「核兵器のない世界」…。しかし理想と現実の隔たりは大きく、その道のりの険しさが改めて浮き彫りになりました。
《2023年8月7日》