図書館では静かにしなくてもいいです-。こう言い切ると語弊があるが、今はシーンとしていた昔とは様子が違ってきたようだ。
コロナ禍がピークだった2年前、久しぶりに訪れた出雲市内の図書館で、小学校低学年くらいの男児2人が大きな声を出し、はしゃいでいた。誰かが注意するのかなと待つと、職員も他の利用者も気に留めていない様子。外出控えなど我慢の連続だった子どもたちを、周囲が大目に見たのだろうと想像したが、コロナ禍に限ったことではないという。
出雲市内の館では子どもの読書を積極的に進めようと「少し大きな声を出しても大目にみて」と張り紙を掲示している。楽しくなると動きたくなるし、感動すれば声は出る。度が過ぎれば注意をするそうだが、まずは温かく見守る大人の度量が問われよう。
「子どもの声は未来の声」。岐阜市立中央図書館は2015年の新館オープンを機に、心に迫るメッセージで来館者に優しいまなざしを促す。同時に保護者には、子どもにマナーを学ばせる場としての活用を呼びかける。当初は苦情もあったが、理解が広がり、40代以下の利用がぐっと伸びたという。
島根県立美術館も毎日午前中を子連れが気兼ねなく楽しめる「かぞくの時間」に設定し、来館者に協力を求めている。避暑先として今、図書館や美術館は人気だ。子どもの声は騒音ではなく、未来の声。耳をふさがず傾けたい。