卒業発表した渋谷凪咲の強さは、お笑い感度だけじゃない

8月7日におこなわれたNMB48・チームNによる劇場公演『夢中雷舞』で、渋谷凪咲がグループからの卒業を発表した。

NMB48からの卒業を発表した渋谷凪咲(8月7日・NMB48劇場)(C)NMB48

■ レギュラー番組も多く、俳優としても活動開始

渋谷といえば、NMB48の中心メンバーとして活躍しているだけではなく、バラエティ番組にも多数出演する超売れっ子。現在も『DayDay.』(日本テレビ系)、『イタズラジャーニー』(フジテレビ系)などのレギュラー番組を抱えている。

また、オードリーの若林正恭と南海キャンディーズの山里亮太の半生をモデルにした2023年4月期ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)でも印象的な演技を披露した。

■ 数々の芸人が、芸人として認識するアイドル

そんな渋谷が脚光を浴びるきっかけとなったのが、「大喜利」の強さ。2022年6月25日放送『まっちゃんねる』(フジテレビ系)内でおこなわれた女性タレントによる大喜利企画「IPPON女子グランプリ」では、同じく「大喜利強者」で知られる滝沢カレンに次いで2位に。また『100%! アピールちゃん』(TBS系)では、行く先で大喜利のお題を突然振られる「24時間大喜利チャレンジ」に臨み、こちらも即興とは思えない発想力で笑いを起こした。

NMB48からの卒業を発表した渋谷凪咲(8月7日・NMB48劇場)(C)NMB48

お笑い芸人たちも、そんな渋谷のバラエティ力に一目を置く。『夕方NMB48』(KawaiianTV)などで共演経験がある見取り図の盛山晋太郎は、「凪咲は芸人の後輩としてみている」とお笑いのセンスを高評価。渋谷も2022年1月1日のX(旧ツイッター)で「見取り図さんはずっと私の事をNSC33期生さんだと勘違いされている」と投稿していた。

さらにかまいたちの山内健司は、メディアのインタビューで「理想の相方」として渋谷の名前を挙げていた。山内は「彼女は存在自体がバラエティって感じで、ちょっと怖いくらい。凪咲はどの番組で誰と絡んでもやっていけるじゃないですか。しかも、こちらが話を振ったら欲しい答えをちゃんと返してくれる」とハズレがまったくないと言い、「あれだけできる人はなかなかいないんじゃないかな」と絶賛していた。

■ トーク能力、お笑い感度、そして場を明るく

そんな渋谷に大きな影響を与えたのが、ラジオ番組『上沼恵美子のこころ晴天』(ABCラジオ)。小さい頃から母親と一緒に同番組を愛聴し、上沼恵美子に魅了されたという。「西の女帝」と称される上沼の大胆かつ刺激的なトークに耳を傾け続けたことが、渋谷の人を惹きつける話術に結びついているのかもしれない。

トーク能力の高さ、お笑い感度の鋭さもさることながら、話し始めるとその場がパッと明るくなるところも渋谷の良さである。

NMB48からの卒業を発表した渋谷凪咲(8月7日・NMB48劇場)(C)NMB48

グループ卒業を発表した公演『夢中雷舞』のライブの合間では、企画「何を食べているでしょうかゲーム」の進行役を買って出た。そのタイトル通り何を食べているのかをジェスチャーで当てるゲームで、渋谷はおにぎりなどを頬張る仕草をしてみせた。ただすぐに正解が出てしまい、小嶋花梨から「凪咲さんが思っているよりも(答えが)分かりやすい」とツッコミを入れられた。そうやって天真爛漫に企画を進める姿に、メンバー、ファンも自然と笑顔がほころんだ。

また同公演のステージからの去り際、石田優美から「なぜ私に(卒業のことを)言ってくれなかったの」と『抗議』されると、渋谷は「だってゆうちゃん、話したらすぐ言うでしょ! ゆうみだけに!」と口にしてファンらを笑わせた渋谷。涙いっぱいの卒業発表だったが、明るく締め括ったあたりに渋谷らしさが光った。

卒業発表時、「この場所(演技)でもっとたくさん経験して、勉強して、成長したいって強く思いました」とコメントしていたように、演技の世界への本格進出も期待される渋谷。NMB48の「最高傑作」といって間違いない彼女。これからどこまで飛躍していくのか、楽しみだ。

文/田辺ユウキ

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