“外交の最重要ツール”日本のODAのあり方とは? どんな意味、目的があるのか解説!

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「New global」のコーナーでは、“円借款”について取り上げました。

◆日本が次々に発表している"円借款”とは?

隣国・ウクライナの情勢にいち早く不安を抱き、侵攻による財政逼迫などの問題を抱えながらも、ウクライナ避難民の支援を続けるモルドバ共和国。現地では日本の人道支援チームも入り、医療支援や教育支援などを行っていますが、息の長い支援を行うべく日本政府は7月10日、JICA(国際協力機構)を通じて135億円を限度とする円借款契約に調印しました。

これは、モルドバ国民及びウクライナ避難民への影響の緩和や経済危機に対する脆弱性を減らすためのレジリエンス(強靭性)、持続可能な国家の構築及び競争力の強化を支援する目的です。

日本は、こうした開発途上国に資金や技術の支援・協力を行うODA(政府開発援助)を積極的に行っており、2022年の実績では暫定値2兆2,968億円。これはアメリカ、ドイツに次ぐ3番目の水準です。

ODAにはさまざまな枠組みがあり、人道支援の現場でよく聞かれる返済なしの「無償資金協力」。また「有償資金協力」もあり、円借款は後者。開発途上国に対して低金利で返済期間の長い緩やかな条件で開発資金を貸し付ける援助になります。

そして、日本はこの円借款を昨今、矢継ぎ早に発表。4月30日にエジプトに上限1,000億円。5月21日にはベトナムに上限609億円。6月25日にはカンボジアに上限250億円で、その目的はコロナ対応やインフラ整備、農業支援、地下鉄建設など多岐に渡ります。

◆ODAの方針が8年ぶりに転換…外交の最重要ツールに

一方で政府は6月、ODAに関して8年ぶりに大きな方針転換をしました。改訂された主なポイントは、従来型の支援に加えて「オファー型協力」、いわゆるリクエストがなくても日本側から働きかけるODAを強化。さらに、ODAを"外交の最重要ツール”と位置付け、効果的かつ戦略的に活用する方針を明記しています。

また、現在世界最大の懸念とされている安全保障に関しても、支援国で軍事的なものが必要となった場合、殺傷能力のある兵器などの支援は行わないものの、同志国の軍を無償で直接支援することができる新しい枠組みOSA(政府安全保障能力強化支援)を導入し、例えば警戒監視用レーダーなどの資機材が提供可能に。

元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは、「こうしたことはすでに中国が積極的に進めている戦略で、日本は遅ればせながらだが、もともとODAの思想のなかに"国際平和”や"人道支援”、日本の安全に資するとあるので、その部分については戦略的に活用していくことは正しい」と日本の方針を認めつつ、「中国が行っているような途上国を債務の罠に陥れるような運用の仕方は問題がある」と指摘。

さらに、「ODAとOSAは明確に分け、日本のあり方としてはあくまでインフラ整備など、途上国の生活の安定に資することに絞るのがひとつの戦略だと思う」と私見を述べます。

総じてキャスターの堀潤は、ODAの原資の一部には税金も入っているとあって「私たちの問題として、ぜひODA、OSAのあり方に注目を」と訴えていました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

© TOKYO MX