平野紫耀さんインスタ「モザイク」でもファン“場所特定”に物議…法律的問題はない?

平野紫耀さんのインスタグラム(@sho_h_desyo)より、訪れた店が“特定”されたショット

7月、元King & Princeの平野紫耀さんがインスタグラムに投稿した写真から、平野さんが訪れた場所を“特定”する行為が、一部ファンの間で物議を醸した。

近年はSNSの投稿をきっかけに強盗が入ったり、ストーカー被害に遭ったりする事件も発生しているが、なぜわずかな情報から場所の特定ができてしまうのだろうか。

専門家が指摘する“特定班”の執念

特定行為が物議を醸したのは、平野さんが同じく元King & Princeの神宮寺勇太さんと「海の方行ってマグロ食べてきた!」という投稿。店内で撮影された写真の背景にはモザイクがかけられていたが、ファンが店を特定し、その情報がSNSで拡散されるのにそう時間はかからなかった。

店を特定したファンは、モザイクがかけられた写真のどこに着目したのか。SNSリテラシーに詳しい小木曽健氏(国際大学GLOCOM客員研究員)は、「平野さんが投稿した写真の中に明確なヒントがあったわけではなく、“執念”によって特定に至ったと考えられます」と指摘する。

「いわゆる“特定班”は、ひとつの情報源だけでなく、たくさんの要素を組み合わせて情報をふるいにかけていきます。少ない情報から場所を特定するには時間=コストがかかりますが、『ここがどこだか知りたい』という思いが強い人にとっては、費やしている時間はコストにあたりません。

とにかく数を打ちまくって調べるかもしれないし、ネットワークを駆使して人に聞いて絞り込んでいくかもしれない。普通の人ならやらない執念深さを持っています」(小木曽氏)

「リスクを呼び寄せる投稿」とは

平野さんのような著名人に限らず、一般人でも「SNSの投稿で自宅が特定されて強盗やストーカー被害に遭った」という事件も発生しており、不安に感じている人もいるかもしれない。

しかし小木曽氏は「前提として、何のトラブルも抱えていない一般人がSNSで自宅を特定されて誰かがやってくるリスクは、交通事故に遭うよりも低いと思います」と言う。

ただし「あまり気にしすぎないほうがよい」としながらも、「リスクを呼び寄せる投稿というものもある」と注意喚起する。

「スポーツカー、高級時計、ブランド品などのような高価なものや希少なものは、犯罪者にとっては“わざわざリスクをとってまで盗みにいく価値”があるもの。SNSにアップすれば、犯罪者が『この人のことを調べてみよう』という動機を生み出すきっかけになりかねません。

ストーカーもそうですが、SNSにおいて『特定したい』という状況が生まれたら、逃げるのは不可能です。一方、リスクを呼び寄せてしまう投稿は簡単にできるし、呼び寄せてしまった人は“普通の人”ではなくなるので、危険な目に遭うリスクも跳ね上がります。

日頃から普通に暮らしている分には、SNSにおける“特定”によって怖い思いをする可能性は低いですが、そうではなくなる場面があるということは、ぜひ知っておいていただきたいです」(小木曽氏)

“特定”の法的リスクについて

SNSの投稿から場所を特定する側には、どのような法的リスクがあるのだろうか。

刑事事件の対応も多い早矢仕麻友弁護士は「SNSに投稿された写真を分析し、撮影場所などを特定したとしても、基本的には公開された情報を基にして個人的に情報収集や分析を行っただけということになります。したがって、個人で特定行為をしただけであって、当該情報を発信したり、情報を基にストーキング行為などをしたりしなければ、犯罪に該当することは基本的にありません」と指摘する。

では、特定した場所をSNSなどで拡散した場合はどうなるのだろうか。

「SNSに投稿された写真から撮影場所を特定してSNSなどで拡散する行為自体が、刑事罰に問われ得る可能性は低いです。これは、特定・拡散した場所が店や公共空間であっても、自宅などのプライベート空間であっても、基本的に同じであると考えられます。

また、SNSなどへお店や自宅などの情報を拡散する行為が刑事上の責任は問われ得ないとしても、いわゆるプライバシーの侵害として民事上の損害賠償請求をされる可能性があることには注意が必要です」(早矢仕弁護士)

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