米知事「奴隷制擁護」で物議 保守層狙い、批判噴出

 【ワシントン共同】2024年米大統領選の共和党候補指名を争う南部フロリダ州のデサンティス知事(44)が「奴隷制擁護」と見なされるような姿勢で物議を醸している。指名争い首位のトランプ前大統領(77)に差を広げられる中、白人保守層の取り込みを図ったとみられるが、党内からも批判を浴び、戦略の迷走ぶりを露呈した。

 発端は、フロリダ州の教育委員会が7月中旬に承認した公立中の黒人史の指導要領。農作業や鍛冶など「奴隷は個人的利益に応用できる技術も習得した」とし、奴隷制を肯定的にとらえるような表現が盛り込まれた。

 デサンティス氏は、人種問題や性的少数者の権利を重視するリベラル派を徹底攻撃する「文化戦争」を仕掛け、保守派の支持を集めてきた。指導要領の内容も支持した上で「黒人の学者も関わり、十分に検討を重ねた」と擁護した。

 これに対し、民主党や黒人団体だけでなく、共和党内からも非難が噴出。フロリダ州選出で黒人の共和党ドナルズ下院議員も「修正が必要だ」と問題視した。

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