上司から“昆虫ごはん”強要、暴力は当たり前…うつ病に パワハラ認定求める現役消防士が証言

愛媛県内各地の消防で相次ぐパワハラ問題。上司から昆虫を食べるよう強要されるなどして、職場にパワハラ認定を求めている消防士が、職場の実態を語りました。

久万高原町消防本部に勤務している20代の男性消防士。

男性消防士 「拒否したら怒られる状態。普段からそういう状態なので難しかったです」

職場は、同じチームのメンバーで出動に備える24時間勤務。食事も、上司や同僚と一緒にとることになっていると言います。

去年10月、食事の時間に上司が持ってきたのが、昆虫食でした。

「ごはんにふりかけのようにかけまして『俺がこれを食べたらパワハラじゃないけんな』って。スプーン一杯分を食べて、残りを全部私に押し付けてきて…」

食用として市販されているコオロギやカイコなどの昆虫を、無理やり食べさせられたと言います。

「周りに職員がいたけど、皆その上司に逆らえないので、笑いながら仕方なく見ている感じでした。おいしくないし気持ち悪いし『嫌です』と断ったんですけど『食べろ』と言われたので仕方なく食べました」

食事の時間に、別の上司が七味を大量にかけた料理を食べるよう強要されたこともありました。

さらに…

「暴力なんかは、通りすがりに頭を叩いたりお腹を殴ったりというのは当たり前」

男性は、2人の上司から受けた行為について、去年11月に職場に相談。今年2月、消防長が2人に口頭で注意しました。しかし上司は、男性を無視したり周囲に“仕返し”をほのめかしたりするようになったということです。

他にも…

「全く関係のない上司から急に呼び出され『お前は負けるぞ』とか『お金の無駄やぞ』とか言われたりして、すごく嫌でした」

男性は、パワハラの認定と処分を求め、今年2月、久万高原町に再調査を要望しましたが…

「役場の方は高圧的な態度で、その話は裏に『誰がおるん』と、そんなことを言われて、役場の方は消防の方に私が来たよと伝えてしまったり、被害者が不利益な状態になってしまって」

男性は、職場でのストレスによって心身に不調を感じるようになり、今年4月にはうつ病と診断されました。

「ごはんを全く食べられなくなったり、休みの日はずっと家にこもったり、仕事もたまに体調不良で休ませていただいたんですけど、すごく不安で仕方なかったです。全然眠れなくて薬を使って寝るようにしました」

将来、懸念される食糧不足への対策として注目が高まっている昆虫食。しかし、抵抗を感じる人も多く、専門家は次のように指摘します。

労働問題に詳しい愛媛大学法文学部 小田敬美教授 「昆虫食を食べるということが、職務上合理的に必要性が認められないということであれば、ハラスメントに該当してくるのではないかと思います。職場と雇っている町役場と職員との関係でも、安全配慮義務違反ということで、やはり町役場側の責任問題にもなってくる可能性はあります」

あいテレビの取材に対し、久万高原町総務課は現在、上司2人などへの聞き取り調査を進めていて、ハラスメントについて判定する委員会の開催を検討していると説明しています。

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