兵庫・伊丹の工事中堤防決壊、県が9月にも補償額を個別説明 建物や車など被害50件超

兵庫県の監督不足を謝罪する八尾昌彦河川整備課長(中央)ら=県庁

 兵庫県伊丹市北部の天神川で5月、兵庫県の工事中だった堤防が大雨で決壊した浸水被害について、県は8日、少なくとも58件の住宅や事業所、車などで被害が確認されていると明らかにした。10日に設置する補償委員会が8月中に算定基準を定め、県は9月にも被災者に賠償金の個別説明を始める方針。

 有識者でつくる県の調査委員会は7日の第3回会合で、堤防決壊の要因が、土のうによる仮設水路の幅が狭かった▽川底の遮水措置が不十分だった-の2点だと確認。事業者への県の監督が不十分だったとした。

 これを受け、県河川整備課の八尾昌彦課長らが8日に会見して謝罪。補償方針を説明した。補償委の委員長は、調査委でも委員を務める角松生史・神戸大大学院法学研究科教授。補償委が23日に算定基準を決めた後、県がそれに基づいて賠償額を定め、9月にも被災者に個別説明を始める。

 県は浸水区域内にある建物や車など88件について、被害状況の調査を進めている。現時点で58件の被害が確認され、残り30件は調査中。今後、区域外でも申し出があれば調査する。

 斎藤元彦知事は取材に「県の監督不十分だったと同時に、大きな過失だ」と謝罪。事業者の施工計画書の不備を見逃したことを受け「再発防止策として職員の確認技術の向上も大切だ」とした。(金 慶順)

© 株式会社神戸新聞社