昆虫愛す「むし屋」が図鑑作成 構想10年、4200種掲載

「Theむし 昆虫図鑑4200種」を手にする田下昌志さん=7月、長野市

 昆虫を愛し「むし屋」を自称する在野の研究者5人が、構想に10年を費やしたポケットサイズの昆虫図鑑を出版した。身の回りで見かける4200種の標本写真をカラー掲載。メンバーは「図鑑をめくり、山や町歩きで見つけた虫を見分ける楽しさを知ってもらいたい」と話す。

 「Theむし 昆虫図鑑4200種」はチョウやトンボ、セミなど10分類の写真を「腹部に赤斑」といった見分け方付きで紹介。メンバーの主観による「珍品度」も5段階で示した。解説ページでは、出現時期や分布地域を盛り込んだ。

 中心メンバーで元長野県職員の田下昌志さんは同県木曽町の自然豊かな環境で育ち、幼いころからチョウに魅せられた。県庁に入庁後、農学博士号を取得した。

 図鑑は「松本むしの会」に所属する5人で作り上げた。掲載した個体は休日に山などへ足を運んで収集した標本が中心だ。こだわりが強く、当初想定した3千種の掲載を大幅に上回った。

 「持ち運びできる大きさでは類を見ない図鑑が出来上がった」と田下さん。信濃毎日新聞社刊、A5判420ページで4180円。

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